超小型カメラを使いバレないように撮影
当時は一体どんな手口で撮っていたのか。
「90年代までは一般客が一眼レフで撮影していても何もお咎めはありませんでした。でも2000年初期頃から競技場に撮影禁止の張り紙が出されるようになったんです。そのため、超小型カメラを使ったり、スマホの画面を見ているフリをしながらレンズを競技側に向けて撮るなど、自然な動作でバレないように撮っていました」
A氏は単独で盗撮していたが、なかにはグループで撮っているケースもあったという。
「たまに見かけたのが、自分と同世代の50代くらいの男が2、3人の若い男に指示を出し、同じ子を狙っていたり、手分けしていろんな子を撮っているのを目撃したことがあります。あの手のグループはおそらく営利目的でネットのアダルトサイトで販売用の写真を撮っていたのだと思います」
アスリート盗撮における法整備がまだまだ準備段階である点も被害件数が減らない理由だろう。2021年5月、テレビ番組に映った女性アスリートのきわどいポーズの瞬間を切り取り「丸見え放送事故!」などの下世話なコメントをつけて画像を無断転載していた男が著作権法違反容疑で逮捕された。これは女性アスリート画像を性的なものととらえて晒す者の初の摘発となった。
全国新聞社会部記者は言う。
「逮捕された男はテレビ番組の画像39枚に卑猥な見出しをつけ、さらにアスリートとは無関係の女性の裸の画像とともに掲載していました。かねて問題となっていた女性アスリートの盗撮問題にメスを入れるべく、画像を無断で使用されたテレビ局を被害者として、選手の告訴を待たずとも立件に漕ぎ着けられると判断し、警視庁保安課が著作権法違反の容疑でサイトを運営していた男の逮捕に踏み切ったのです。
また、同様の事件を起こして、2021年6月に警視庁に逮捕された大阪府内の会社員は著作権容疑だけでなく名誉毀損容疑でも追送検されている」