北京オリンピックで人流は変わる?

綿矢 今日は中島さんに中国のことについていろいろと伺いたいと思います。
 まず、北京オリンピックなど大きなイベントを控えていますが、中国の人の行き来などはどうなるでしょうか?

中島 そうですね。この記事が出る頃には、おそらく北京冬季五輪は終わっていると思いますが、海外から一般の観光客が観戦目的で入国することは、ほぼ無理だと思います。中国国内でも五輪開催中は北京に行くことは難しくなりますし、一般へのチケット販売もしないことになりました。

綿矢 やっぱり難しいんですね。無観客になるのでしょうか。東京オリンピックもギリギリまで決まらなかったですね。

中島 関係組織の方々とか、一部の招待客は観戦できると思います。コロナが発生する前、日本人も中国には15日間はビザなし渡航ができたんですが、コロナ禍以降は渡航自体、非常に難しくなりました。

綿矢 今、入国制限が厳しくなっているようですが、北京オリンピックの前と後とで、人の流れは変わると思いますか?

中島 オリンピックが終わっても、入国制限は急に緩くはならないと思いますね。中国国内の感染者が落ち着けば、国内の人の移動は増えるかもしれませんが、海外からの入国については、当分厳しいと思います。

綿矢 そうなんですね。大きなイベントだから影響あるのかと思っていましたが、オリンピックをきっかけに変わるというわけでもないんですね。

【インタビュー連載 会いたい人に会いに行く!】第1回 綿矢りささん(作家)が中島恵さん(フリージャーナリスト)に会いに行く【前編】_3
綿矢りささん

中国人の消費マインドの行方

綿矢 では次の質問です。中国の人の消費傾向についてお聞きしたいです。過去、爆買いや日本通と呼ばれる人たちも登場したと中島さんのご著書にありましたが、コロナもあって海外旅行が難しくなった今、中国の人たちの消費マインドはどこに向かっているのでしょうか。

中島 今は国内に目が向いていると思います。一昨年(2020年)の夏から秋頃はコロナがかなり収まっていたので、夏休みや国慶節(中国の建国記念日、10月1日からの大型連休)の休暇を使って国内旅行をした人がかなり多かったようです。

綿矢 国内の旅行先で人気の場所はどちらですか?

中島 住んでいる場所によっていろいろですが、たとえば、北京や上海などの人は、雲南省、四川省、海南省(海南島)など、できるだけ遠くて、大都市にはない地方の魅力が感じられるようなところに行く人が多いと思います。
 海南省は南にある温暖な島で、北京や上海とは風景がまったく違いますが、ここ数年は高級ブランドの免税品店が立ち並ぶようになり、海外に行けない今は、そこに行って「爆買い」をする、という人が増えました。

綿矢 海南島の動画などを見ると楽しそうなので、私も行ってみたいなと思っていました。今まで海外で買っていたブランド品を、国内の観光地に行って買うという風に変わってきたんですね。それは自然に流行が移り変わってきたという感じですか?

中島 コロナ禍で海外に行けなくなったので、国内でブランド品が買えるところに行っているという面もありますが、ショッピング以外でも、国内の観光地に行ってみたら、意外と見どころがあるじゃないかということで、国内の観光地を見直し、国内旅行に出かけている人が多いように感じます。
 国内の地方にも豪華なホテルや、すばらしい観光施設ができているし、景勝地もたくさんあるので、ネットで検索して、そういうところに行っているようです。