非日常的な外食の先駆けとは?

バルセロナから2時間ほどの郊外にあるリゾートレストランであったエル・ブジはすでに閉店していますが、かつては約50席しかないシートに、世界中から年間200万件もの予約希望が殺到し、「世界一予約が取れないレストラン」と呼ばれていました。

エル・ブジ自体は1964年に開店しているのですが、有名になったのは1981年にフェラン・アドリアがシェフになってからです。フェランは独創的な料理を提供するため、4月から10月までしか営業せず、残りの半年間は新しいメニューの開発を行いました。

料理はすべてコースで40皿以上、すべてを提供し終えるのが深夜にまで及ぶこともありました。

シーズンごとにメニューを一新するのですが、エスプーマやアルギン酸カプセルを使った調理科学を積極的に取り入れたり、醤油や柚子など日本の食材も使った斬新なもので、世界中から富裕層が自家用ジェットやボートでやってきたといわれます。

1997年にはミシュランの3つ星を獲得、2002年にはじめて「世界のベストレストラン50」の第1位に輝いたのち、2006年から2009年は4年連続して第1位となっています。

しかし、あまりにも忙しく、自分の料理をどうしていいかわからなくなったとして、フェランは2011年7月30日まででレストランを閉店してしまいました。

とはいえ、彼が発見した科学的な調理は世界中の弟子たちに受け継がれました。日本でも、山田チカラ、橋本宏一、永島健志、藪中章禎、太田哲雄といった若いシェフがフェランの下で学び、帰国後は「81」「セクレト」「山田チカラ」など、斬新なレストランをどんどん作っています。

続きはニッポン美食立国論#2

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