事務所使用禁止が組にとって痛手な意外な理由
礼電を入れる際、気をつけなければならないのは組同士の序列だ。
同じ組からもし3人が差し入れしてきたなら、そこも序列に従って礼電を入れなければならない。序列にうるさい組もあり、「先にあちらにお電話しましたが、序列がありますんで」と説明することもあるとH氏はいう。
暴力団の組織はピラミッドで成り立っている。特に六代目山口組のピラミッドは、他の暴力団組織より強固で堅牢のため、序列を間違うことは許されないのだ。
事務所があれば、これらの対応もまとめでできるが、六代目山口組は神戸や大阪、名古屋などで事務所の使用が禁止されている。
差し入れや見舞いなどの電話は、組長が逮捕された組幹部へ直接かかり、礼電対応も担当組員が自分の電話からかけるしかない。
H氏によると対応が遅れたり、慣れない担当が電話でミスをしてもすぐにリカバーできないため、事務所の使用禁止は組織の有事にはかなり痛手となるらしい。
ETCの不正利用で先に逮捕された組長らは、すでに起訴されたと聞く。これから先、暴力団組織の恒例行事があるたびに、全国の高速道路の料金所には現金払いの車が列をなすことになりそうだ。
取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班