山口組開催の餅つき大会を利用して組長らを逮捕

たとえば12月13日は山口組の恒例行事である「事始め式」が行われるため、直参組長はみな静岡へと出向く。

「警察は13日の前後3日間ほど、周辺の防犯カメラや高速道路のNシステムを調べればいい。誰が運転し、誰が車に乗っているか、カーテンさえ閉めていなければそれでわかる」(S氏)

S氏の言う通り、2月2日と5月17日に逮捕された会長らも山口組の行事に参加するため、高速道路を通っている。
警察にとって、直参が動くこうした恒例行事は狙い目なのだ。警視庁のマル暴担当の元刑事は「大きな事件での逮捕が難しい状況なら、何かに絡めて逮捕することで、組織に圧力をかけるのも暴力団捜査のひとつ」だという。

※写真はイメージです
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5月10日には六代目山口組直参の若林組組長の篠原重則ら5人が逮捕された。こちらも山口組恒例行事の餅つき大会に関連した逮捕だ。容疑はプロパンガス10本を法律に定める基準を守らずに運搬したということだが、すでに罰金10万円の略式命令が下りている。
元刑事は「起訴にならない限り、暴力団排除に対する効果は低い」と話す一方、逮捕する刑事にとっては「傘下組織の組員を逮捕するより、組長連中を逮捕したほうが自分らの評価に対する点数は高くなる」とは別の警察関係者。
そのため警察内部では、このニュースを受けて「逮捕するにはこういう手もあったのか」と称賛する声もあるらしい。

組長逮捕は組にとって打撃だが、その時、組はどう動くのか。山口組関係者であるH氏によると、「一番にやらなければならないのは弁護士への連絡、次が差し入れへの対応だ」と話す。

「捕まったところで組長は黙秘する。組の幹部が面会に行こうにも、まず裁判所から許可は下りない。警察対応も組長がどういう状態なのかも弁護士から聞くしかない」