かっこよさにしびれる! 女子のための麻雀青春小説
大学2年生の渚が出会って秒速で恋に落ちた相手は、人間ではなくて麻雀だった――。現在も競技麻雀のプロとして活躍する著者が自らをモデルに、新人麻雀プロ"大地渚"の誕生と挑戦、苦悩と成長を爽やかにつづるエンターテインメント私小説。
麻雀というと「怖そう」「ギャンブル?」と、ちょっとネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれない。でもこの小説を読んだらきっとそんなイメージがガラッと変わるはず。ルールを知らない人でも読み始めから物語にぐいぐい引き込まれるだろう。
大学に行って、就職して、とふつうの人生を歩んでいた等身大の女子が主人公だったからかもしれない。そんな《ふつう》だったはずの渚が「麻雀が好き、もっと強い人たちと戦いたい」というピュアな気持ちを武器にプロになっていく。
困難を乗り越え、ここ一番で信じられない強さを見せる彼女の姿はまるでバトルものの少年漫画のように単純にかっこよくて、思わずテンションが上がる。真剣勝負のヒリヒリした世界の描写もよい。
小説を読んでワクワクしたい人はもちろん、人と少し違う夢を持って頑張っている人にもおすすめしたい。ひとりの女子が夢に向かってがんばるお仕事小説でもあるから。ぜひこの1冊でエネルギーチャージしてください!
五月病にきく! 青春系お仕事小説
出版社の営業として働く馬締は新しい辞書『大渡海』の編集部に異動になり、愛すべき同僚や学者たちと関わりながら辞書作りの長い道のりを歩むことに。仕事や言葉への愛と情熱が伝わる傑作小説。
アニメ制作の裏側を舞台に、監督やプロデューサー、アニメーター、それぞれがよりよい作品作りとクールの「覇権」を目指して奮闘する仕事愛・アニメ愛にあふれる1冊。5月には映画も公開予定!
2022年6月号掲載
選書・原文/花田菜々子 web構成/轟木愛美 web編成/内山英理