誰にも頼れない社会になりつつある日本
――日本の特に都市部では互いに干渉しない代わりに、孤立感や孤独感を抱く人も多いのかもしれません。
今の日本の社会は、相手のプライベートに少しでも踏み込みすぎると、すぐに訴えられる世の中になっています。隣近所の子が悪さをしていても、勝手に叱ると問題になってしまう。プライバシーを過剰に守ろうとしている面がありますね。
話しかけたら迷惑なのではないかと、気にし過ぎているようにも見えます。今は他人に話しかける人が少ないから、話しかけてくる人=怪しい人という傾向がどんどん強くなっていて、悪循環になっていますよね。
40年前は買い物をするにしても商店街の商店がほとんどで、みんなが顔見知りだったし、近所には悪い子にコラを言う“コラおじさん”もいました。今の世の中は他人に対して、あまりにも無関心じゃないでしょうか。
――他人と関わるのが面倒という意識もあるのかもしれません。
児童虐待が起きて子供の泣き叫ぶ声が聞こえていても、他人だから関係ないとなってしまう。事件になってから「毎日子供の声が聞こえていましたよ」で終わらせてしまう世界は、恐ろしいですよね。都会であっても、街の治安を守る上で人の目の存在は非常に大きいわけです。
そう考えると、やっぱり自分たちが社会の一員であるという責任感は、一人ひとりに持っていて欲しいと思います。異変があった時に我関せずで終わらせるのではなく、警察や児童相談所に伝える。そういうことが、地域づくりだと思います。我関せずで済ませてしまうのは寂しい社会、怖い社会、生きづらい社会になってしまいます。困った時に、誰にも頼れない社会になってしまう。
エジプトに小さい子供を連れていくと、店員さんがわーっと寄ってきて子守りしてくれたり、街中でも話しかけてくれる人がすごく多いです。日本人に比べると、照れとか恥ずかしいっていうのがあまりないんですよね。そのぐらい大胆な人が、日本にはもっと必要なのかもしれません。
後編につづく
取材・文/西谷格