息子がスティーヴン・ソダーバーグ監督作に出演
世界のエンターテインメントの中心であるロサンゼルス近郊に暮らしていると、「俳優」にたくさん出会う。スターになることを夢見てハリウッドにやってきたばかりの若者から、自称俳優、全米俳優組合(SAG−AFTRA)の会員、さらには、テレビシリーズや広告でよく見かける人まで、みなさん、さまざまなステージで活動していらっしゃる。
アメリカ国内のデータによると、16歳以上の俳優の就労人口は4万2千人。おそらく、この4万人強の方々は、舞台から映画まで、なんらかのかたちで演技をしてギャランティをもらったことのある人たちということのようだ。
実は我が家にも「自称子役」が3人いる。今年16歳の長女ユズは、1歳の誕生日を前にモデル事務所大手の「The FORD Models」と契約して以来、オーディションを受ける日々だ。次女のアカリ(13歳)、長男コーヤ(10歳)も、小学校に上がる頃から活動を始め、今ではオーディションを受けるのが日課のようになっている。
昨年コーヤが撮影に参加した作品は、スティーヴン・ソダーバーグ監督の新作映画『KIMI/サイバー・トラップ』。動画配信サービスのHBO maxで2022年2月に全米配信された。日本では6月3日にDVDレンタルが開始される。
オーディション情報を受け取ったのは昨年7月。マネジャーから送られてきたメールにソダーバーグ監督の名前を見つけた私は、「わぁぁぁ」と声を上げた。しかも『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のキャスティングディレクター、カルメン・キューバの名前もあるではないか。マネジャーからの但し書きには「セリフのない役ですが、それでもよろしければ」とある。「いい、いい、いいってもんじゃないです! 受けます!」と即答した。
オーディションでは、自身の大切なエピソードをシリアスなトーンで話すことが要求された。自己紹介用動画(スレート)も「同じトーンで」という要望。こんなリクエストは他では聞いたことがない。映画の内容がどんなにシリアスでも、オーディションでは笑顔で元気よく自己紹介するのが通例だ。監督とキャスティングディレクターのこだわりが伝わってきた。