最新刊のカバーイラストは、開店20周年のご褒美

最新著書『雑貨と私』では、後藤さんの半生やこれまでの選択、大切にしていることが20のエピソードで綴られています。東京時代から親交のあるミュージシャン松田“チャーべ”岳二さん、後藤さんと同じように地方で雑貨店『in-kyo』を営む友人・長谷川ちえさんとの対談も収録。

後藤由紀子さんが沼津にUターンして雑貨店hal店主となり20周年を迎えた「偶然みたいな必然」【私のウェルネスを探して 後藤由紀子さん 前編】_7

“私の好きな20の雑貨”では、お気に入りの雑貨20品と共に、作家さんとの出会いや思い入れを語ります。表紙を担当するのは『Olive』でも活躍していたイラストレーター上田三根子さん。「私がずっとファンで作品を買わせてもらったり親交はあったものの、お仕事では初めて。上田さんに自分を描いてもらえるなんて、20周年のご褒美ですね」。

これまで出版した本は、ほとんどが編集者主導で内容を決めていましたが、『雑貨と私』は後藤さんが初めて「こんな本はどうだろうか」と提案して内容を決めました。完成した本をめくりながら、「幼少期から育った環境、好きなこと、人の縁。それらがつながって今があるんだと実感します」と振り返ります。

お母さんでも妻でもなく、私が私でいられる場所

『hal』と過ごした20年間。その間には大変な時期もありました。

後藤由紀子さんが沼津にUターンして雑貨店hal店主となり20周年を迎えた「偶然みたいな必然」【私のウェルネスを探して 後藤由紀子さん 前編】_8

「オープンした直後は、お店に誰も来なくて、友達が誰かを連れてきてくれたり、それこそ口コミで来てくれる人ばかりでしたね。目標と決めていた3年は乗り越えたものの開店5年目、モチベーションが下がって “もう気が済んだからやめようかな”と思ったことがありました。そんな時、近くのお店の人から“私も5年目にやめようと思ったんだよね。でも気づいたら10年やってた(笑)”と言われて、とりあえず続けようと思いました。コロナで自粛していた時期もきつかったです。お店を開けても1日1組来るかどうか、高級旅館みたいな状態でしたから。インスタライブを始めて通販に力を入れるようになってからは売り上げがアップ、なんとか乗り越えました」

後藤さんにとっての『hal』の存在。それは20年前も今も変わらずに“自分が自分でいられる場所”だと言います。

「お母さんでも妻でもなく、私が私でいられる場所。特に育児中は、そんな気持ちが強かったですね。私が大好きな場所で、一番くつろげる場所。あと、お客さんと話せて接客がとても楽しいんです。例えば、街で素敵なワンピースを着ている方を見かけても普通は気軽に話しかけられませんよね。だけどお店だと話しかけられる。私にとって『hal』は、楽しみが詰まったかけがえのない場所なんですよね」

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(後半では、後藤さんの人生を変えた“ある言葉”、健やかな笑顔と精神を保つための生活習慣、子どもが巣立った現在の夫婦2人生活について聞きます。どうぞお楽しみに!)

後藤由紀子さんの年表

1968年 静岡県沼津市で生まれる
18歳 東京の会社に就職。最初のボーナスを使って、バンタンデザイン研究所に1年間通う
21歳 雑貨店で働き始める
22歳 『ファーマーズ・テーブル』で働き始める
24歳 地元の沼津に戻る。事務をしながらカフェで週1お手伝い
26歳 庭師の夫と結婚
28歳 長男を出産
30歳 長女を出産
34歳 沼津『hal』をオープンする
47歳 『後藤由紀子の家族のお弁当帖』(ワニブックス)出版
48歳 『毎日続くお母さん仕事 おおまか、おおらか、だいたいでやってます』(SBクリエイティブ)、『毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい』(PHP研究所)出版
51歳 『50歳からのおしゃれを探して』(KADOKAWA)、『日々の物差し』(ピエ・ブックス)を出版
54歳(2023) 『雑貨と私』(mille books )を出版。沼津『hal』が20周年を迎える

後藤由紀子さんが沼津にUターンして雑貨店hal店主となり20周年を迎えた「偶然みたいな必然」【私のウェルネスを探して 後藤由紀子さん 前編】_10
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撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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