カリスマティックな俳優がケンを演じる意外性

映画『バービー』の再現度がヤバすぎ! 期待しかない映画のストーリーと、マーゴット・ロビー&ライアン・ゴズリングの変幻自在なキャリアに注目_7
Capital Pictures/amanaimages

そして、バービーといえばボーイフレンドのケンだ。バービーを販売するマテル社によると、ティーン・モデルであるバービーとCM撮影で出会い、交際するようになった設定だという。最初の職業はモデルだが、やがて宇宙飛行士やゴルファー、バスケットボール選手、歯科医師や映画監督などさまざまなキャリアを持つケンが登場し、時代に応じたバージョンが発売されている。

映画でケンを演じ、人形以上に非現実的(?)な筋肉美を披露しているのがライアン・ゴスリングだ。シリアスな人間ドラマからSF大作、コメディ、アクション、ミュージカル、アートハウス作品と何でもござれ。

役作りにも定評があり、デレク・シアンフランスやニコラス・ウィンディング・レフン、テレンス・マリックといった芸術肌の監督からのオファーが絶えない。そんなカリスマティックなゴスリングがケン役とはちょっと意外に思う人もいるかもしれない。

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『完全犯罪クラブ』
Photofest/アフロ

子役からキャリアをスタートさせた彼は、エンタメ色の濃いファミリー向け番組などでキャリアを積み、19歳からは映画に軸足を移すことを決意。映画出演2作目の『The Believer』(2011)の繊細な演技によって業界内での高い評価を獲得。続いて出演した『完全犯罪クラブ』(2002)では、主演のサンドラ・ブロックとの交際に注目が集まった。

若手演技派として認められ始めたゴスリングは、『きみに読む物語』(2004)で世界的に大ブレイク。アイドル的な人気を獲得したが、演技の幅を広げ続けた彼は、『ハーフネルソン』(2006)で初のアカデミー賞主演男優賞候補となっている。しかし、名実ともにAリストスターになった後もアートハウス作品志向の強さは変わらず。ラブドールをパートナーにする恋愛下手の男を好演した『ラースと、その彼女』(2007)に続く、『ブルー・バレンタイン』(2010)では妻役ミシェル・ウィリアムズとの演技合戦で観客を魅了している。

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『ラースと、その彼女』
Everett Collection/アフロ

その後、商業的に成功しない作品が続き、スランプに陥って休業した時期もあったが、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)で新たな魅力を発揮し、ミュージカル『ラ・ラ・ランド』(2016)で完全復活。2度目のアカデミー賞候補となり、デイミアン・チャゼル監督とは『ファースト・マン』(2018)でも再び組んでいる。

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『ラ・ラ・ランド』
Photofest/アフロ
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コロナ禍を経て、ベストセラー小説を映画化した『グレイマン』(2022)で4年ぶりにスクリーン復帰したゴスリングは、プロモーションで出演したジミー・ファロン司会のトーク番組で『バービー』出演の経緯を説明。

グレタ・ガーウィグ監督から出演依頼の電話を受けた後、どうしよかと考えながら裏庭に出たら、そこにうつ伏せのまま放置されたケン人形とレモンの皮が落ちているのを発見。トーク番組向けの冗談だったのかもしれないが、これを啓示と思って出演を承諾したという。

トレイラーを見る限りは、完璧なボディを持つバービーのボーイフレンドにふさわしい筋肉美と輝くブロンドヘア、そしてチャーミングすぎるウィンクという表面的な魅力は十分。

「誰もケン人形では遊ばない。バービーの添え物。ケンは家も仕事もない」と分析する彼は、果たしてケンをどう演じているのか。
キャラクターの細部まで役を作り込むことで有名なゴズリングのこと。物語の進行と共に、ケンの内面の複雑さも表現されることを期待したい。




文/山縣みどり

『バービー』(2023)Barbie アメリカ

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©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

完璧でハッピーな毎日が続く夢のようなバービーランドで暮らすバービー(マーゴット・ロビー)とケン(ライアン・ゴズリング)が、ある日、完璧とはほと遠いリアルワールド(人間世界)に迷いこみ、本当に大切なものを見つけるファンタジー。メガホンを取るのは、『レディ・バード』(2017)や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)のグレタ・ガーウィグ監督。

8月11日(金)より全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト: barbie-movie.jp
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