おじさんのイメージと現実のズレ

おじさんは社会的強者、だから強い者を叩くのは正義である……おじさん叩きが止まない最大の理由がこの理屈だと、田中さんは説明する。

「ニートや生活保護受給者が働かない、働けない理由はさまざま。そもそも社会的弱者であるから叩いていいはずがない。

しかし、おじさんは違う。大した仕事をせずとも地位にあぐらをかいて、高い給料をもらい続けている。その分、割りを食っているのが女性であり、若者だと、多くの人が捉えています。

おじさんが叩かれやすいのは、不祥事を起こした公務員や銀行員が叩かれるのと似た現象といえますね」

だが、イメージではなく、おじさんの現実をしっかり見ることも重要だ。

「現在、40〜50代の男性は3割近くが未婚で、今後もその割合は増えていく見通しです。非正規雇用者もずいぶんと増え、貯金もなく、明日の生活に不安を抱えている中高年男性は少なくありません。

しかし、おじさん叩きをすればするほど、『おじさん=強者』のイメージが蔓延し、現実との差が生まれてしまうのです」

おじさん構文、働かないおじさん…「おじさんは叩いていい風潮」の危険性 社会学者が指摘する中年男性のイメージと現実のズレとは_4
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