人生を変えたのは市原隼人と戸田恵梨香?
これで味をしめた増井さんは、その後もノーベル文学賞発表のパブリックビューイングにハルキストに扮して村上春樹の落選に涙してみたり、大相撲で徳勝龍が初優勝したときには父親が歓喜する横で一緒に喜んだりと、まさに神出鬼没の映り込み。その映り込み回数は年間で50~70本だというから、これだけ見ればかなりの売れっ子タレントだ。
しかし、不必要に画面に映り込んでくる得体のしれない謎のおじさんに対して、「邪魔だ」「興味もないイベントにしゃしゃり出てくるな」といった批判的な意見も珍しくない。だが、そのくらいでは増井さんはへこたれない。
「大して気にしてません。ミーハーっぽいところはありますが、まったく興味のないイベントには行ってませんしね。その証拠に、台風中継や事件、事故現場には映り込める可能性が高くても行きません。ですからアンチの方々にもぜひご理解いただけるとうれしいですね」
彼の言うとおり本当にアンチがいるのだとしたら、ある意味、人気者の証と言えるかもしれない。そもそも増井さんはなぜテレビの映り込みを始めたのか。
「小学生の頃から芸能人に漠然とした憧れがあって、ずっと『誰かに注目されたい』と思いながら生きてきました。そんな気持ちを抑えながら、地元、三重の工場に就職して普通に働いてたんですが、東日本大震災による半導体不足で工場が停止して1か月まるまる特別休暇をもらったんです。
その時にやることがなかったから『DOG×POLICE 純白の絆』という映画のエキストラに応募したんです。その撮影現場で見た市原隼人さんや戸田恵梨香さんのあまりのオーラに、僕の“目立ちたい欲”が再燃してしまいまして……(苦笑)」
市原隼人も戸田恵梨香も、まさか1人のおじさんの人生を変えて(狂わせて)しまったなどとは夢にも思っていないだろうが、ともあれ、ここから増井さんのエキストラ活動、そして映り込み活動は加速していく。