離婚は人生で経験する2番目にストレスの大きなもの
裏を返せば、良い結婚に恵まれない人びとは、想像以上に不利だということになる。ある研究で、5000人の患者の医療記録を調べ、人生で経験する最もストレスの多い出来事を分析したところ、離婚は2番目にストレスが大きいことがわかった(一番は、配偶者との死別)。離婚は、なんと刑務所に入るよりストレスが大きかった。
いや、もっと悪いことがある。本来、人間にはかなり回復力がある。どんなに悪いことが起ころうと、ほとんどの場合、幸福度はいずれ基準値に戻る。ところが離婚の場合は違う。3万人を対象とした18年間におよぶ調査によると、結婚が破綻した後、主観的な幸福度は回復を示すものの、元のレベルには戻らないことがわかった。つまり離婚すると、幸福度が持続的に低下するようだ。
そして、前述の2010年オーストラリアの調査で、未婚者、既婚者、離婚者等を含めた
「結婚スペクトラム」全体で見ると、不幸な結婚生活を送っている人が最も落胆していることがわかった。どうせ孤独になるなら、一人でなるほうがましだ。
というわけで、結婚は健康や幸福を保証してくれるものではなく、大勝ちか大負けかというギャンブルのようなものだ。さらにギャンブルの喩えでいえば、勝ち負けの確率は五分五分ではない。
『ニューヨーク・タイムズ』紙のコラムニスト、デイビッド・ブルックスが述べたように、ア メリカでは、離婚率が40%に近く、離婚に至らないが別居中の夫婦が10~15%、さらに同居を続けているが慢性的に不幸な既婚者が7%ほどいる。どう考えても、健康や幸福の保証にはならない。幸せな結婚生活を持続できる夫婦のほうが少数派なのだ。