依存症は、「完治」しないが「回復」はする病気
グレイス・ロードは、これまでに約250人のギャンブル依存症者を受け入れてきた。その内、現在治療プログラムを受けている人は60人。過去に治療を受けた190人が全員回復しているかというと、残念ながらそうではない。
「190人の中で、回復して自立したのは約35%にあたる65人でした。それ以外の125人は、治療を放棄して施設を飛び出した人達です。治療が必要ないと判断したのか、ギャンブルをしたくて出て行ったのかはわかりません」
さらに、社会復帰を果たした65人も約半数に依存症の再発がみられた。自らの意思で自助グループ通いを再開して持ち直した人もいるが、グレイス・ロードに再入所した人も3割程度いるという。
1度回復した人が依存症を再発しても、グレイス・ロードではその人を責めることない。その理由は、依存症=病気だという前提があるためだ。
「まだまだ日本では、根性論や精神論で依存症を甘えや怠けとみなす風潮がありますが、そのような誤った意見が事実をぼやけさせています。依存症は、れっきとした病気です。回復しても完治することはありません。
例えば、癌の治療を受けた人が、後に再発したからといって責める人はいないでしょう。同じように、依存症を病気と認識すれば、再発した人を責めるなんてことは絶対にできないとわかるでしょう」
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取材・文・撮影/内田陽