攻撃的な選手として“嫌なDF”とは?
――3月17日にコミックス第1巻が発売となったマンガ『カテナチオ』はDFが主人公の物語ですが、堂安選手にとって、今まで対戦して一番嫌だったDFは誰ですか?
堂安 バイエルン・ミュンヘンのアルフォンソ・デイヴィスですね。ただ単にスピードがあるだけじゃなく、ポジション取りが上手い。速いだけなら対処できるけど、背後に抜け出すタイミングもめちゃくちゃ上手いから厄介です。
高いポジションを取ることによって、対面するウイングの選手を押し下げ、攻撃させないようにしてきます。たとえカウンターを食らっても、自分の足の速さをわかっているから、全然間に合うと考えているんでしょうね。
――足の速い選手はやはり対応しにくいのでしょうか?
堂安 俺は縦に勝負するタイプのウイングではないから、足の速いサイドバックは本来、そこまで困らないんですけどね。タイミングさえズラすことができれば、カットインで中に入っていけるので。でも、デイヴィスだけは異常ですね。速いやつはいっぱいいるけど、あれほど速いやつは今まで対戦したことがなかった。身体能力が異次元です。
――では、堂安選手がいい選手だと思うセンターバックは誰でしょうか?
堂安 冨安(健洋)ですね。同い年で13歳くらいから一緒にやっているけど、いい選手だと思います。
今、フライブルクで一緒にプレーしているフィリップ・リーンハートもいい。無理がきいて、前でガツンとボールを奪いに行ける選手。頼もしいです。
あと、見ていていい選手だなと思うのはナポリのキム・ミンジェ。ひとつのプレーに集中していてサボらないし、こまめに動いてロングボールも処理できるし、ポジショニングもうまいし、ボールも持てる。冨安みたいなタイプですね。ポカがないし、フィジカルが強くてビルドアップもできる。いい選手です。
――攻撃的な選手として、そういうDFは嫌ですか?
堂安 「どこかでポカをするかもしれない」と感じるDFを相手にする時はモチベーションが上がりますね。そういう一瞬が試合中にもあるかもしれないので。逆に「この選手は絶対にやらかさへん」と感じる相手はやりにくいです。
普通の選手はすぐに外へクリアしようとする場面でも、ちょっと頑張ってGKに戻して繋げたり、ロングボールをヘディングで大きくクリアするのではなく、中盤の選手にちょこんと預けたり、そうやって落ち着いてマイボールにできる選手は手強いです。
――ちなみに、今まで一緒にコンビを組んだことのある右サイドバックで印象に残っている選手はいますか?
堂安 フローニンゲン時代に組んだゼーファイクですね。俺のことを信頼してくれていたから余計なことをしないし、やりやすかったです。
日本代表で最初にコンビを組んだ酒井宏樹君もすごくやりやすかったですね。あとカタールW杯でウイングバックをやった伊東純也君とも相性が良かったです。いつもサイドに張ってくれているから、困ったら見ずにパスを出せるくらい安心感がありました。
――最後に、日本代表を応援するサッカーファンに向けて、メッセージをお願いします。
堂安 日本国民全員が認める絶対的で圧倒的な日本代表の中心に、俺はなります。次のW杯で新しい景色を見るためなら、どれだけつらくてもいいと思える覚悟ができましたから。日本代表に対する期待も、俺に対する期待も今まで以上に大きくなっているのは感じるけど、それが重圧にはなっていません。
国民のみなさんにはプレッシャーをかけ続けてほしいです。これまで以上に注目してもらいたいし、ダメなときには遠慮なく、批判してほしい。それも全部、自分の力にして、ここからさらにもうワンランク、ツーランク上の選手になってみせます。日本代表がまだ見たことのない景色を見せたい。だから、俺についてきてほしいです。
撮影/HIRO KIMURA
スタイリング/松下洋介
ヘア&メイク/吉村健