アスリートが五本指ソックスを着用すべき4つのメリット

夏には足が蒸れるのを防ぎ、冬には冷え性の改善に効く――。そんな触れ込みとともに、日本の消費者にもあっという間に広がった五本指ソックス。だが、この製品が現在、日本サッカー界での地位を向上させているのをご存知だろうか。

テレビ中継などからは決してわからないのだが、昨年のカタールW杯で日本中を歓喜の渦に巻き込んだ日本代表選手の多くが五本指ソックスを愛用している。後述するが、このソックスは、今後の日本サッカーの発展を考えたときに、大いなる可能性を秘めているのだ。

例えば、昨年10月のこと。田中碧の靴下がドイツメディアで報じられて話題となった。彼が長年愛用している五本指ソックスについてフォーカスされた報道だった。繰り返すが、先のW杯のスペイン戦で決勝ゴールを決めてヒーローになった田中だけではなく、多くの日本代表選手が五本指ソックスを愛用している。

そもそも、サッカー選手のようなアスリートが五本指ソックスを着用することで、どのようなメリットが得られるのか。

靴下専門店「靴下屋」を運営し、日本代表選手をはじめ、多くのプロサッカー選手が愛用するフットボールソックスを製造しているタビオ株式会社のタビオスポーツ担当者によると、協力を仰ぐ医療機関やさまざまな実験から、以下の4つの利点が挙げられるという。

1.足の安定性

サッカーは足を使う競技である以上、足の安定性がすべてのプレーの起点となるのは説明するまでもないだろう。

2.瞬発力

瞬発力はどのような球技においても選手に求められる能力なのは容易に想像がつく。具体的には、普通のソックスを履いた時と比べて、五本指ソックスを着用すると、瞬間的に発揮できる足のバネの力を示す数値が上がるという。

3.足指の握力

身体的な機能が向上する効果以外にも、足の握力が増すことで関節をねんざするリスクを減らせるというデータがある。

4.敏捷性

先の実験で確認された4つの項目のうち、上昇率が最大となる130.4%も有意になるというデータが出たのが、この項目だった。サッカーの世界では、敏捷性を意味する英語の「アジリティ」という言葉が頻繁に使われる。それくらい重視されている能力であり、日本人サッカー選手の優れている能力として国内外で評価されることも多い。

たしかに、アフリカにルーツを持つ選手などはしばしばフィジカル能力の高さが話題になるし、日本代表選手の多くは短距離走のスピードで彼らにかなわない。しかし、小回りの利いた俊敏な動きは日本人選手のほうが優れていると感じられる場面は多い。

例えば、カタールW杯でも、世界中のメディアから日本の敏捷性は称賛された。スペイン戦の堂安律による同点ゴールは、日本の選手たちが素早くプレスをかけ続けたのをきっかけに生まれたのだが、あれは日本の「アジリティ」が世界レベルにあることを証明した場面だった。