500万円振り込まれて動くことになった“東横キッズ”の少女探し
こういった場面を幾度となく、くぐり抜けてきたZ李氏。Z李氏と言えば歌舞伎町を思い浮かべる人も多いと思うが、トー横キッズを相手に人探しを行ったこともある。
「知らないアカウントからある少女を捜して助けてほしいとDMがきた。ちょうど歌舞伎町のビルでカップルが自殺した時期だった。A子とB子がいて、B子はもうどこかに失踪している。このままだと残されたA子は殺されてしまうと。A子の行方はわからないけど、A子の入り浸っていたバーがあって、そこは新宿署の息がかかっていて、そのバーに行くと吸い込まれたように女の子が次々いなくなるとか“龍が如く”みたいなことを言っていた。
俺は『それは骨が折れそうな案件だね、本気で調べるなら着手金が500万円かかるよ』って冗談で言ったんだ。すると振り込むというからどうせ嘘だろうと銀行の口座を教えると本当に500万円が振り込まれてきた」
妙な依頼だとは思いながらも、お金をもらったからには依頼者の思い込んでるストーリー通りに全力で調べてあげようと思ったZ李氏たちは、一晩でのべ50人以上に聞き込みをしたという。
「調べていたら援デリの実態に行きついた。本当にキッズのやつらってひとつの部屋にみんなで住んでいたり、1台のケータイを使いまわしててさ。そのうちA子とかB子の証言も出始めてきた。これは大変だったな。例の新宿署の息がかかってるっていうバーに『乗り込みますよ』って依頼人に言ったら『そんな事したら自分が消されてしまう』とか言い出してさ。これも依頼人が納得する形で話はついた」
普通の人からすれば面倒事にしか思えない案件をなぜ引き受けるのか。Z李氏は「金のため」と言い張るが、偽悪的に振舞っているようにも見える。
そのひとつの例として“SuriBoy”の一件がある。
歌舞伎町一番街で酔い潰れている男性からスリを働いた若い男性がいた。その一部始終が定点カメラに捉えられ、その動画が公開されて話題になっていたことから、Z李氏が犯人を捜索。実際に見つけ出して犯人に謝罪の思いを込めたラップを歌わせ、その音源と、警察に出頭する男の動画をTwitterに投稿した。話題にはなったが、これに収益が発生しているとは思えない。
「ネット上に自分の画像があんだけ出回って、こすられたら気が気じゃないでしょ。盗人の立つ瀬を残して、かつちゃんと悔い改めさせる超法規的な措置をすれば世の中がベターな方向になると思ってて、それが謝罪ラップだったり出頭の様子を公開することだった。
なんてかっこいいこと言っても、はっきり言ってふざけてるだけ。でも、MC漢がやってる『9sariグループ』てとこでRECしたし、出頭していく動画もすごくこだわって撮影したから、これはもう、ひとつのドキュメンタリーだろ」