指導者4人が口をそろえて「キャプテンは無理(笑)」
そんな東岡山ボーイズの中心選手だった山本少年。たとえば、キャプテンを任されることはなかったのか――。そんな問いをぶつけると、指導者の4人は口をそろえて「いや、無理(笑)」と笑いながら答えてくれた。
「性格的に、決して前に出るタイプではなかったです。本人的にもやりたいことをやれなくなるから、キャプテンはちょっと……という感じでした」
エースでもなく、クリーンアップを打つわけでもなく、キャプテンでもない。全国大会に出場するほどのレベルであれば当たり前かもしれないが、当時の東岡山ボーイズは決して山本少年のワンマンチームではなかった。
「由伸よりも打つ選手は他にいましたね。2番を打たせたのはさっきも言いましたけど器用だから。送りバントや進塁打を打たせればピカイチでしたけど、ランナーを返すようなタイプではない。身長もまだそこまで大きくなくて、引退するころにようやく170センチくらいだったかなぁ……」
話を聞くと、少なくとも中学校時代までの彼が決して『特別な選手』ではなかったことがわかる。ただ、その一方、のちの飛躍を予感させるような印象的なエピソードもある。(#2へつづく)
#2 特別な選手ではなかった山本由伸はいかにして球界ナンバーワン投手になったのか?
写真:CTK Photo/アフロ