ジジ活も終活のひとつ
「シングルマザーの私がどうやって生計を立てているのかを気にしていました。『この先、結婚するの?』と聞かれたので、『相手もいないし、しばらくないかな』と答えたら、ちょっと嬉しそうな顔をした後に『これは生活の足しにしてください。これからも困ったら僕を頼りなさいよ』と20万円をいただきました」
当初、Sさんの友人から聞かされていた金額は10〜15万円だったので、それよりもだいぶ多い。女性にいいところを見せたい、頼られたいという気持ちは、いくつになっても変わらないのだろう。
Sさんは「また会ってね」という言葉とともにハグをしながらキスして、K子さんとその日は別れたそうだ。
それ以降、Sさんと直接会う機会には恵まれていないが、ほぼ毎日のようにLINEをしているという。当初はおぼつかなかった文面も、好きな人のためにと一生懸命勉強したのか、絵文字なども習得。
トーク履歴を見せてもらうとSさんから「あなたは理想の女性です」「また会いたいなあ。抱きしめたい」といった恋人同士のようなメッセージが絵文字で飾られていた。
「しばらく既読がつかないと『もしかして?』と思っちゃう。本当に怖いし、心配になります。死んじゃったらヤダなあ……。今は寒いのでもう少し暖かくなったら会いましょうと言っています」
K子さんは後期高齢者とジジ活関係を始めたことで、あることに気づいたという。
「初めて会った時は元気にスタスタ歩けていて、お酒もかなり飲んでいました。今時のおじいちゃんってこんなに元気なんだなとビックリしたくらい。なのに、2回目は『あれ? こんなに老けてたっけ』と……。
高齢者は時間の流れが私たちと違うんです。いつ死ぬかわからないから、やり残したことをやっておきたいんだなとその姿を見て感じました。彼らにとってはこれも終活のひとつなんですよ」
人生の夕暮れにおいてのジジ活。認知症の妻は置いておいて、Sさんの子供や孫がこの事実を知ったら悲しむのではないか。この問いにK子さんは「それこそ子どもたちのエゴ」「本人が望むことをさせてあげればいいのでは?」と答えた。
人生の終わりに向けての準備だけが終活ではない。
もう一度、男らしく女性を愛して誇らしく人生の幕を下ろすのも、ひとつの大往生といえなくもないのか。
取材・文/中山美里
集英社オンライン編集部ニュース班
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