特殊詐欺、闇バイト根絶に向けて
「全世代にできることがある」
若年層への啓発を特に強化すべきだ、と田崎さんは訴える。
「子どもから大人まで、いまや特殊詐欺を知らない人はいません。けれども被害はなくならないどころか手口が巧妙化して粗暴化している。
私が知っている加害者の最年少は14歳です。今は小さい子どもも普通にスマートフォンを使う時代。ライブに行きたい、ほしいものがあるという安易な理由で闇バイトを探してしまう。
向こうも『大丈夫だ』と安心させながら誘惑してくるので、簡単に引き込まれてしまう実態がある。でも一度やってしまったら逃げられないんです。
学校への出前授業などで実例を取り上げながら、闇バイトの恐ろしさを執拗に伝えるべきです。末端の担い手が不足すれば、必然的に被害も減っていきます」
また、田崎さんは高齢者への啓発は今まで通り続けるべきだと主張しながらも、「現役世代には、自分たちが相続する遺産がかすめ取られていると思って死守に回れと伝えたい」と語気を強める。
「親族に電話して、現金を家に置いていないかをまず確認する。置いているのであれば、置かせないようにする。そして、口座の引き出し上限金額を引き下げてもらう。
これだけでも万が一被害に遭った際に被害額を最低限に抑えられます。あとは自分の名前を名乗って、こまめに電話することです。全世代にできることがあります」
誰もがだまされてしまう可能性があると田崎さんは続ける。
「詐欺なので、すべてが嘘から始まっている。つまり、手口は無限にあるんです。根も葉もないことを言い、複数の人間を登場させながら相手を翻弄させ、思考停止に陥らせる。私でさえだまされるのではないか、と思うほどです」
取材・文/高山かおり
撮影/岡庭璃子
編集/一ノ瀬 伸