女性誌風に舵を切った理由は…

2006年の「ロードショー」で、もっとも話題になった9月号の表紙はここにはない。アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットがふたりの実子として授かった赤ん坊のシャイロと一緒に映った貴重な家族写真で、「ロードショー」は日本での使用権争奪戦の末、落札に成功している。ただし、「二次使用一切不可」という条件がついており、それから十数年経過したいまでもこの条件は有効なのだ。

ジョリーとピットは、2008年に双子が産まれたときも家族写真をオークションで販売。米ピープル誌が1400万ドルという前代未聞の高額で落札している。なお、すべての収益は慈善事業に割り当てられている。自身の名声をチャリティに利用する彼ららしいやり方だ。

実は、この9月号から編集長が交代したのだという。高額写真落札の背景には、新編集長の並々ならぬ覚悟があったのだ。さらに、アン・ハサウェイを表紙に起用した12月号は、『プラダを着た悪魔』(2006)特集ということもあって、女性誌と見間違うようなおしゃれなデザインになっている。

【休刊まであと3年】1年の半分、表紙を飾るというジョニー・デップ祭り! 一方、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーのベビー・カバーはお見せできない…その理由は!?_2
芸能誌出身の「ロードショー」が女性誌風たたずまいに。だが付録はやはりジョニー
©ロードショー2006年12月号/集英社
すべての画像を見る

テコ入れの背景には、出版不況の波がいよいよ迫ってきたという事情があったのだろうと想像できる。1990年末からかつての人気雑誌の廃刊や出版社の倒産のニュースが相次いでいた。インターネットの普及や若年層の書籍需要の減少、おまけにテレビ局主導の映画が人気を博し、「邦高洋低」の時代に突入していた。1972年創刊、いつの間にか“老舗”と呼ばれるようになった洋画誌「ロードショー」の進路に、巨大な氷山が現れていたのだ。



◆表紙リスト◆
1月号/エマ・ワトソン 2月号/ブラッド・ピット 3月号/ジョニー・デップ 4月号/ウィリアム・モーズリー、ジョージー・ヘンリー、アンナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ(『ナルニア国物語』)※全員初登場 5月号/ジョニー・デップ 6月号/ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ 7月号/オーランド・ブルーム 8月号/ジョニー・デップ 9月号/アンジェリーナ・ジョリー、ブラッド・ピット、シャイロ・ジョリー=ピット(本記事に掲載なし)※シャイロのみ初登場 10月号/ジョニー・デップ 11月号/ジョニー・デップ 12月号/ジョニー・デップ 
表紙クレジット ©ロードショー2006年/集英社