5万円も資金援助してくれた人も
本人が勇んでも、かわいい娘をそんな危ない旅に行かせたいと思う親は少ない。家族の反対はなかったのか。
「母親には保育士を辞める前からヒッチハイクのことは話していましたが、心配はされても反対はされませんでした。父親には絶対に反対されるとわかっていたので、出発する直前に伝えました。反対されても家を出ちゃえばいいと思ってたので(笑)。すると意外と父も笑って見送ってくれました。やっぱり急すぎたのが功を奏したのでしょうか。
ただ心配をかけないようにLINEでどこにいるかは逐一伝えるようにしています」
なんとか両親の理解を得て、いよいよ出発。しかし、当初はダーツで行き先を決めていたわけではなかった。では何をゴールに旅をスタートさせたのか。
「もともと全国の春夏秋冬を経験したかったし、一度会った人とはもう一度会いたかったので、ヒッチハイクで日本4周を目指すことにしました。
所持金ゼロを掲げた理由は、“無一文”とつけると、人にとても温かくしてもらえるから。お金を持って旅してる人に宿を提供しようと思う人は少ないでしょうけど、無一文だと泊めてくれる。
そうすれば、お金の節約はもちろん、そこに1つ出会いが生まれる。それが目的で無一文を貫いてます」
無一文だから受けられる温かい施し。彼女はそれに良くも悪くも魅入られている。
「そんな無茶を自分に課したものだから地域の神社に行ってもお賽銭すら払えない……(苦笑)。
でも、そんな私に『これで楽しんでね』とか『頑張ってね』とお金をくれる方がたまにいて、そのお金の使いどころを自分で考えるのが楽しいんです。
金額ですか? 500円とか1000円ですね。ジュースを買ったお釣りを激励の気持ちで恵んでくれる方もいれば、過去には封筒に入れて5万円もくれた方もいました。とはいえ、それだけで飲食代や旅の資金はまかなえないので、SNSでPayPayの支援援助も受け付けています。そこでも1万円を送金してくださった方がいました」