一方通行の恋愛でも自分次第で楽しめる
――今回の作品のテーマは「ままならない恋愛」ということですが、どんな想いを作品に込めましたか?
よくありがちなのかなと思います。自分が好きだと思って付き合っているけど、実際は別れるのが面倒で惰性で付き合っていたり、恋人なんだけど、傍からは「それって都合よく付き合わされているだけだよ」と見られてしまう関係性だったり。
誰かから「二人はどういう関係なの?」と尋ねられてもなんて答えればいいのかわからない、みたいな。
タイトルにもなった『ごっこ』というような関係性の人って、実際にいるのではないかと考えていて。恋人や友達や夫婦という、わかりやすい言葉の枠からこぼれおちた人たちなのですが、3作品ともに、そういう一方通行の感情をほとばしらせて相手から振り払われてしまう恋愛の具合を書いてみたいなと思って。
報われないというか成就しないというか、あんまり幸せな感じがしない人たちが出てくる話になりました(笑)。
――そういう恋愛に対して、「もっとわかり合える恋人に巡り合えるはず」という希望を持っているのか、もしくは「他者とはどこまでもわかり合えない」というような諦めの境地なのか。紗倉さんはプライベートではどういうマインドをお持ちでしょうか?
両方あるかもしれないですね。すごく頑張って相手に寄り添っても、やっぱりわかり合えない部分はありますし。
でも、わかり合える関係性を築きたくてそれを目指して努力するわけですから。どちらも捨て難いというか、両方の矛盾した思いを抱いて接しているのだと思います。
この作品のように、一方的な恋愛感情によって振り回される人物を書くときは「報われないことも含めて(自分が)楽しんでいるのかな」と思います。