在宅ホームレスになる危険性

3つ目は兄弟姉妹との話し合いです。
ひきこもりのお子さんに兄弟姉妹がいる場合、不公平な相続を受け入れてもらえるかどうかを確認する必要があります。
ひきこもるお子さんが一生働けない可能性があるため、できるだけ多くの資産を残したいことや住んでいる家はその子の財産になるなど、親が元気なうちに他の兄弟姉妹と話し合っておいてください。

また、自分たちが亡くなった後、兄弟姉妹にひきこもるお子さんのさまざまな手続きのサポートを頼めるかも確認を。
税金、国民健康保険料、年金などのさまざま手続きは、ひきこもっていると自分ではできない場合が多いので、そのサポートが必要になります。
兄弟姉妹が難しい場合は支援団体や行政機関に頼れるかを確認しておきましょう。

最後は、生活面のサポートです。
親が食事、洗濯など身の回りの世話をしているケースが多く見られますが、できるだけで自分のことは自分でできるように教えておくのがおすすめです。
せめて、ご飯の炊き方、洗濯機の使い方は教えておいてほしいです。

また、食費にかける予算の管理を。月3万円程度に抑えるのが理想なので、1週間ごとに5000円ずつ渡すなどして、親亡き後も無計画な買い物をさせないようにしましょう。

さらに早めに電気、ガス、水道の支払い口座を子ども名義に変えておきましょう。
親名義にしたままだと、親が亡くなったあとにライフラインが止まり、子どもはお金があっても使えない状態になる可能性も。
私が知っている中でも、公園で顔を洗ったりトイレをしたりしているという、一時的ではありますが、在宅ホームレス状態を経験した人は何人かいます。
家の名義は変更すると贈与税が課せられますが、ライフラインの口座の変更は問題ないので、早めにやっておきましょう。

これらは親が元気なうちにやっておいてほしいことです。
私の相談者さんの中には、親が介護状態、引きこもりの子どもが70代というケースがあります。
そうなると、親自身が動きたくても動けないです。

今日明日困るわけではないかもしれないですが、あまり先送りせず早めに動いていただければと思います。



取材/百田なつき

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