超自己中心的な母親のもとで育った結果…

静岡県の伊豆半島に下田市はある。夏はマリンスポーツ、秋から春にかけては温泉で盛り上がる観光地だ。

男たちの性欲の捌け口とされ、産まれたばかりの子を殺した女が逃れられない実母の呪縛「刑務所を出たら、お母さんと暮らしたいです。だって、お母さんとは…」_1
自然豊かな町、下田
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この下田市の住宅街で、A子は長女として生まれた。だが、この家庭には複雑な事情があった。母親が小さな頃から頻繁にトラブルを起こすタイプの女性だったのである。A子の出生からしてそうだった。
母親は10代の終わりに神奈川県へ働きに行き、そこで出会った男性の子供を妊娠し、未婚のまま下田に帰ってきた。それで産まれたのがA子だった。その後も、母親は未婚のまま次女、三女と産んでいく。

母親は性生活に無頓着だっただけでなく、子育ての仕方も大きく歪んでいた。彼女は娘たちを前にすると、機関銃のように自分の言いたいことだけを言って、「これをやれ」「あれをやれ」と命令する。どれだけ不条理なことであっても、娘が口答えすることは許さず、気に入らないことがあれば暴力をふるったり、何時間も罵ったりする。

私が本人を直接取材した時もそうだった。驚くほどの肥満体型の彼女は、口を開くと延々と自分の話だけのマシンガントークを繰り広げ、質問さえ受け付ける余地を与えない。それでいて、話を終えるとさっさと立ち去ってしまうのだ。

そんな親に育てられたせいで、A子はどんな不条理もすべて飲み込む、従順なロボットのような性格になった。親だけでなく、周りの友達にもそうだった。学校の先生や友達にどんなことを言われても笑顔で従う。八方美人というより、誰に対しても異常なまでのイエスマンだった。

そんな彼女が、母親同様に性行動が乱れるようになるのは高校になってからだ。周りの男子が彼女の性格に気がついて次々と性的なことを求めてきたのだ。彼女は拒むことなくそれを受け入れた。