阪神は遊撃手・小幡をどう育てるのか

今シーズン、阪神タイガースの遊撃手として開幕スタメンに名を連ねたのは、プロ5年目・22歳の小幡竜平選手でした。

“勢い”の小幡 vs“安定感”の木浪!? 鳥谷敬が見たタイガースの「遊撃手争奪戦」_1
今季、ショートの開幕スタメンを掴んだ小幡竜平。延岡学園から2018年ドラフト2位でタイガースに入団。右投げ左打ち
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初スタメンとなった開幕戦では、以前から評価の高かった守備で好プレーを見せたうえに、3安打2打点1盗塁と躍動。しかし、6試合連続で先発出場した後、4月8日の東京ヤクルトスワローズ戦からは控えにまわっています。

自分が22歳の時は、プロ1年目。開幕戦から5試合連続で先発出場させてもらった後、5月の半ばまで先発出場できないという経験をしました。小幡選手は、既にプロとしての経験を4年間積んでいるので自分とは状況が違いますが、心中を察するものはあります。

チームには勝ってほしいし、自分の代わりに出ている選手にも活躍してほしい。でも、その選手が活躍すると自分のポジションがなくなってしまうのでは……と、複雑な気持ちでいるかもしれません。こういった葛藤は、プロ野球選手である限り、どうしてもつきまとうものでしょう。

ただ、今は、野手であれば何がなんでも全試合出場、投手であれば同じクローザーが5連投・6連投をするような時代ではありません。チームとしても、個人としても成績を残すために、積極的な休養が推奨されるようになりました。

自分が千葉ロッテマリーンズに在籍していた時には、佐々木朗希投手の将来を見据え、チームとして長期的プランのもとに起用していくという育成方法も目の当たりにしました。

評論家としてチームの外から見ている立場なので確証はありませんが、阪神タイガースは、小幡選手に、いきなり遊撃手としての責任を全て抱えさせないように考えているのではないでしょうか。他の選手と併用しながら、まずは1年間を乗り切り、数年後、本当のレギュラーになれるような計画を立てているのかもしれません。