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エチレングリコールは摂取すると死亡率70パーセント

逮捕された細谷健一容疑者(43)の姉・Mさんは2018年4月に41歳で死亡した。死因不詳の突然死だったため東京都監察医務院が行政解剖をしたが、死因特定には至らなかった。しかし、遺体の一部は保存されており、4歳次女の変死事件を捜査していた警視庁が関連性を調べたところ、同じエチレングリコールの成分が検出された。

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逮捕された細谷健一容疑者(撮影/集英社オンライン)
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エチレングリコールは車の不凍液などに使われる化学物質で、摂取すると腎臓の機能低下を招く。甘い味がするため間違って舐めてしまうケースもあり、経口摂取すると急性腎障害を起こして尿が産生されなくなり、死亡率70パーセントという、非常に強い毒性を有する。摂取後2~3時間で血中濃度がピークに達し、嘔吐やけいれん症状、さらには脳梗塞や心筋梗塞につながる場合もある。摂取が明らかな場合は速やかに血液透析で毒素を除去しなければならない。

浅草警察署(撮影/集英社オンライン)
浅草警察署(撮影/集英社オンライン)

社会部事件担当デスクが解説する。

「昨年3月に亡くなった次女(当時4歳)の遺体からは向精神薬オランザピンも検出されています。この薬の成分は、エチレングリコールと非常に“飲み合わせ”が悪く、腎機能低下をさらに助長して急性腎不全やうっ血性心不全につながったとみられます。エチレングリコールは甘いので、幼児が誤飲した可能性を排除することが難しい。しかし同時に、向精神薬の錠剤も合わせて誤飲することは不自然です。次女の母親の携帯電話からこれら薬物の購入履歴も判明し、警察は夫婦が共謀して次女を殺害したという判断に達した。変死事案の認知から殺人事件としての着手に1年近くを要したのは、こうした経緯があったからです。
遡ってMさんの突然死を調べたところ、大人が誤飲するとは考えにくいエチレングリコールが体内から見つかり、事件性が浮上した。昨年、大阪府警が手がけた京都タリウム連続殺人事件と同様、過去の事件が捲れ上がっていく可能性は否定できません」

昨年、大阪府警が手がけた京都タリウム連続殺人事件で、女子大生と伯母にタリウムを摂取させた罪に問われている宮本一希被告
昨年、大阪府警が手がけた京都タリウム連続殺人事件で、女子大生と伯母にタリウムを摂取させた罪に問われている宮本一希被告