精神的なダメージを与えるために「家族を皆殺しにしようと」

被告は2021年の犯行当時19歳で、従来は氏名が公表されない「少年」。しかし、事件を起こした18、19歳を「特定少年」と位置づけて起訴後の実名公表を解禁する改正少年法が昨年4月に施行されており、これが初めて適用されたケースとなった。甲府地検はその理由について「2人を殺害し、家屋に放火するなど地域社会に与える影響が深刻な重大事案」とし、実名公表に踏み切った。

放火された被害者の自宅(近隣住民提供)
放火された被害者の自宅(近隣住民提供)
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起訴状によると遠藤被告は2021年10月12日午前3時半ごろ、甲府市の民家に侵入し、夫婦の胸をナイフで刺すなどして失血死させ、同居していた次女を殺害しようとナタで殴りつけ、頭に1週間のけがをさせた。さらに、室内にライター用のオイルをまいて火を付け、住宅を全焼させた。

検察側は冒頭陳述で、遠藤被告が同じ高校に通っていた被害者の長女に一方的な好意を寄せて交際を申し込んだものの、断られたことに「激しい怒りを募らせた」と犯行の動機について言及。その逆恨みから長女に精神的なダメージを与えるために「家族を皆殺しにしようと考えた」と述べ、精神鑑定の結果、完全責任能力があったと主張した。

これに対して弁護側は、被告は複雑な家庭環境で育ったため精神状態が不安定で、事件当時は不本意な進路もあって感情をコントロールできず、刑事責任能力が大きく減退した心神耗弱状態だったと主張。また次女に対する殺人未遂罪の殺意を否認し、傷害罪にあたるとした。甲府地裁によると、期日は12月11日の第26回公判で論告と最終陳述をし、判決言い渡しは追って指定するという。