爆発事件直後も岸田首相は和歌山駅前で街頭演説

「いま私たちの国にとって大切な選挙を行っている。ぜひみなさんと力を合わせて、最後までやり通さなければならない。この国の主役であるみなさん一人ひとりに、自らの思いを選挙においてしっかり示していただかなければならない」

岸田首相は4月15日午後、和歌山駅前で街頭演説し、午前中に起きた爆発事件について触れて力強く訴えた。
その後は航空機で羽田空港を経由して千葉県へ移動。演説が予定されていたJR新浦安駅前には、事件の影響もあってか雨にもかかわらず大勢の聴衆が集まった。

岸田首相は「天気は変えることはできませんが、政治はみなさんの一票一票、力によって変えることができる。結果を出せる政治を実現しよう」とマイクを握り、自民党公認で立候補した千葉5区補選の英利アルフィヤ候補も「雨にも、風にも、暴力にも絶対に負けません」と声を張り上げた。

〈爆発事件後も遊説続行〉焦る岸田首相「周囲が止めても握手やグータッチ」「高揚感から自制が効かなくなった」背景に衆参5補選“1勝4敗”なら求心力低下は必至で…_1
爆発物を投げ入れた直後に確保された木村隆二容疑者(写真/共同通信社)
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事件があったのは15日の午前11時25分ごろ。岸田首相が和歌山市雑賀崎の漁港で海産物を試食した後、和歌山1区補選の門博文候補と並んで演説を始めようとしたところに、筒状の爆発物が投げつけられた。直後に和歌山県警は兵庫県川西市けやき坂の無職、木村隆二容疑者(24)を現行犯逮捕。首相は緊急で和歌山県警本部まで車で退避した。
しかし、その約1時間後には、予定されていた和歌山駅前で街頭演説を再開。岸田首相はその後、Twitterで「私は街頭演説の場に立ち続けます」と発信し、もともと予定されていた遊説スケジュールをこなした。

一方、今回の演説続行の判断については、警備体制やテロ対策が十分に検討された上での判断だったか疑問視する声も挙がっている。全国紙の政治部記者は語る。

「岸田首相は和歌山県警本部に入った後、自民党の幹部らに『何かが投げ込まれたが、爆発まで時間があったので逃げることができた』と電話で報告しているが、そのときに同時に『街頭演説は予定通り続ける』と伝えている。
まだ容疑者が何者なのか、犯人は単独犯なのか複数犯なのか、組織的なテロ行為ではないのかについて捜査が進んでいないなか、首相が自身の政治的判断で、演説を予定通り続けることを決めたようだ」