新型コロナウイルスによる渡航規制が各国で緩和され、久々の海外旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。待ちに待った海外旅行ですし、せっかくなら行ったことがない国で休暇を過ごすのも素敵な選択です。
旅行先として魅力的な国は多々ありますが、どこに行こうか迷っているなら、ぜひおすすめしたいのが、オーストリア共和国(以下、オーストリア)です。
なぜオーストリアがおすすめなのか。その魅力を掘り下げる前に、同国の特徴や文化について、少し触れておきましょう。
オーストリアは人口約898万人、面積約8万3900平方キロメートル(北海道とほぼ同じ大きさ)の中央ヨーロッパに位置する内陸国。共和国として、都市州である首都ウィーン、ブルゲンランド州、シュタイヤマルク州、ケルンテン州、フォアアールベルク州、チロル州、ザルツブルク州、オーバーエステライヒ州、ニーダーエステライヒ州の9つの州から成り立っています。

「オルフェウスの窓」「皇妃エリザベート」…名作漫画でたどるオーストリア“聖地巡礼”。華麗なる歴史と悲恋とロマンに浸る旅を
「オーストリア」と聞くとどんなイメージを持つだろうか。音楽の都ウィーン、アルプスの山々、はたまた有名なハプスブルク帝国? ひょっとしてあまり馴染みがない人もいるかもしれないが、実は、漫画やアニメ、演劇といった、日本でも身近なカルチャーの中にも、オーストリアの歴史や偉人を題材にした作品が多く存在している。ここでは彼の地を舞台とした名作漫画に触れながら、オーストリアの魅力をぐっと掘り下げてみたい。
人生で一度は行きたい名所がずらり
歴史とロマンに溢れる麗しの都

9つの州で構成されるオーストリア共和国(shutterstock.com/ ©︎Cartarium)
国土の約63%をスイスから続くアルプス山脈が占めていることもあり、ヨーロッパの地理的中心にありながら、オーストリアには雄大な自然が多く残っています。都市部にまで広がる壮大な森や、アルプス麓の牧草地、水浴も楽しめるターコイズブルーの澄んだ湖など……日本ではなかなか味わえない絶景をいたるところで堪能できます。

ケルンテン州にあるヴァイセンゼー湖(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Yasefanprod)
特に中央ヨーロッパ最大とされる「ホーエ・タウエルン国立公園」や、約5000種の動植物が生息する「ドナウ・アウエン国立公園」といった国内に6つある国立公園は、自然がそのまま保たれており、まさに息を呑むほどの美しさ。豊かな大自然に触れながら、リラックスして英気を養いたい人にとっては絶好の観光地なのです。

中央ヨーロッパ最大の国立公園「ホーエ・タウエルン国立公園」ザルツブルク州、ケルンテン州、チロル州にまたがって位置している(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Reinhold Leitner)

ウィーン東側にあるニーダーエステライヒ州の「ドナウ・アウエン国立公園」。開発されることなく残された中部ヨーロッパ最大の低湿地(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Popp & Hackner)
そしてなんといっても、オーストリアは文化・芸術の世界的な中心地。たとえば首都ウィーンは“音楽の都”と呼ばれており、ベートーヴェンやモーツァルト、ハイドン、ヨハン・シュトラウス父子といった音楽史に名を残す偉人を多く輩出した地として有名です。今でも街には「ウィーン国立歌劇場」(国立オペラ座)や「ウィーン楽友協会」といった一流の劇場やコンサートホールが多く建ち並び、本格的なコンサート、オペラ、音楽祭、ミュージカル、バレエなどが毎晩のように楽しめます。

世界最多のレパートリーを誇る歌劇場として知られる「ウィーン国立歌劇場」(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Julius Silver)
またその歴史の深さから、多くの価値ある文化遺産や世界遺産が街のいたるところに残っているのもオーストリアならでは。
“ウィーンのシンボル”ともいわれる「シュテファン大聖堂」や、ハプスブルク皇帝が住んだ「シェーンブルン宮殿」、オーストリア風バロック建築の代表格「ベルヴェデーレ宮殿」、名作ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台となったザルツブルク旧市街などなど……とてもいっぺんには挙げきれないほど、中世ヨーロッパの名残を感じる美しい街並みや建造物を、そこかしこに見ることができます。

1714年から1723年にかけて建設されたバロック様式の傑作「ベルヴェデーレ宮殿」(©︎ Belvedere Wien, Photographer: Lukas Schaller)

1997年にユネスコ世界遺産に登録されたザルツブルク旧市街(©︎ Tourismus Salzburg GmbH)
そして実はオーストリアの歴史・文化は、日本の「あの」名作漫画の中でもテーマおよびモチーフとして描かれているのです。ここからは、それらの作品を紹介しながら、オーストリアの“聖地”を巡っていきましょう。
『オルフェウスの窓』とともに歩く“音楽の都”ウィーン
まず紹介したいのが、1980年に第9回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した『オルフェウスの窓』(著:池田理代子)。20世紀初頭のヨーロッパを舞台とし、日露戦争や第一次世界大戦、ロシア革命といった史実を織り交ぜて描かれる、少女漫画の金字塔ともいえる大河ロマンです。
物語は、ドイツ・レーゲンスブルクにある聖ゼバスチアン教会附属音楽学校から始まります。
簡潔にあらすじを紹介すると、この学校の塔には「その窓から地上を見下ろしたとき、最初に視界に入った女性と恋に落ちる。しかし、それは悲劇に終わる」という言い伝えがある“オルフェウスの窓”があり、男装して転校してきた少女・ユリウスはその窓越しに、同日に転校してきたイザーク、そしてバイオリン科の上級生クラウス(アレクセイ・ミハイロフ)と出会い、歴史と運命に翻弄されていく……というもの。
本作は全4部で構成されており、第1部はレーゲンスブルクの音楽学校を中心に描かれますが、第2部ではウィーンへとその舞台を移します。そのため、『オルフェウスの窓』でもウィーンの風景やランドマーク的な建築物がいたるところで描写されているのです。
たとえば第2部の冒頭では、レーゲンスブルクを離れたイザークが、「シュテファン大聖堂」をはじめとするウィーンの街並みを眺めるシーンが描かれています。

『オルフェウスの窓』(著:池田理代子、発行:集英社文庫)より。第2部ではウィーンが舞台となる

ウィーンのシンボル「シュテファン大聖堂」(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Harald Eisenberger)
「シュテファン大聖堂」は、12世紀半ばに建設された“ウィーンのシンボル“とも呼ばれる教会。オーストリアで一番高いランドマーク的存在で、ウィーンの街を歩けば、どこからでもその姿を見ることができます。
ハプスブルク家の歴代君主が眠る墓所として、また大音楽家モーツァルトの結婚式および葬儀が行われた場所として、その存在を知っている人も多いかもしれません。
建設当時はロマネスク様式だった「シュテファン大聖堂」は、その後、ハプスブルク家のルドルフ4世(1339〜1365年)によりゴシック様式に建て替えられました。その後も改築・修繕がなされ、現在では外観はゴシック様式、内部の祭壇はバロック様式が採用されています。
長きにわたり、手が施されてきたという背景もあり、時代をまたがってのさまざまな建築様式を見られるのも、この教会の大きな魅力。内部では貴重な祭壇や拝堂だけでなく、宝石が施された聖遺物、宗教的な文献、祭服など、多くの文化財を見ることができます。

「シュテファン大聖堂」の内部(Copyright: © WienTourismus/Gregor Hofbauer)
また、印象的なのが東西南北に建てられた4つの塔。なかでも北塔と南塔は登ることもでき(有料)、特に約136mある南棟では343の階段を登った先から、壮麗なウィーンの街並みを一望することができます。
2001年にはユネスコの世界遺産にも登録された、オーストリアに来たなら、絶対に訪れたい名所のひとつです。

「シュテファン大聖堂」で一番高い約136mの南塔は有料で登ることができ、ウィーンの街並みを一望できる(Copyright: © WienTourismus/Christian Stemper)
さて、このウィーンで、大型新人ピアニストとして成功を収める『オルフェウスの窓』のイザーク。作中ではさまざまなコンサートホールが描かれていますが、今回注目したいのは「ウィーン・コンツェルトハウス(Wiener Konzerthaus)」(以下、コンツェルトハウス)です。

『オルフェウスの窓』より。こちらは「ウィーン・コンツェルトハウス」が描かれたシーン

ウィーンのロートリンガー通りにある「ウィーン・コンツェルトハウス」(Copyright: © WienTourismus/Christian Stemper)
ウィーンのロートリンガー通りにあるコンツェルトハウスは、皇帝フランツ・ヨーゼフ(1830〜1916年)時代の1913年に完成した由緒あるコンサートホール。「音楽ファンのための夢の殿堂」としても親しまれており、あのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と肩を並べる「ウィーン交響楽団」の本拠地としても有名です。
大ホール(1865席)、モーツァルトホール(704席)、シューベルトホール(366席)、ベリオホール(400席)の4つのホールで構成されるコンツェルトハウスでは、中世やルネサンス・バロックのクラシックだけでなく、ジャズやワールドミュージック、最先端の実験的音楽など、あらゆるジャンルのコンサートが年間800以上も開催されています。

「ウィーン・コンツェルトハウス」の大ホール(Copyright: © WienTourismus/Peter Rigaud)
「コンツェルトハウス」は、市全体が芸術の色で染まる「ウィーン国際音楽祭」や古き良き音楽を現代に蘇らせる「レゾナンツ音楽祭」といったフェスティバルの会場としても賑わいを見せます。
また、本拠地としているウィーン交響楽団はもちろん、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン放送交響楽団といった錚々たるオーケストラがコンツェルトハウスで演奏会を開催。毎年12月30日、31日、1月1日にはベートーヴェンの『第九』が演奏されるなど、“至高の音”に出会う絶好の場なのです。
舞台裏を見学できるガイドツアー(有料)では、建築家フェルディナンド・フェルナーらが設計したエレガントな建築だけでなく、運がよければリハーサル風景を見られることも……!
コンツェルトハウスを訪れた際には、ぜひガイドツアーにも参加することをおすすめします。
ヨーロッパを魅了した美貌の皇妃の愛と苦しみを追いかけて
“ヨーロッパ宮廷随一の美貌”と謳われ、没後100年以上が経過した今でもアイコニックな存在として世界中で愛され続けているのが、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(1830〜1916年)の妻、皇后エリザベート(1837〜1898年)です。
今なお「シシィ」の愛称で親しまれる彼女は、日本でも高い人気を誇り、演劇作品や小説の題材としても広く取り扱われています。
エリザベートをテーマにした伝記漫画はいくつか存在しますが、なかでも『マンガ 皇妃エリザベート』(著:名香智子)は、彼女の波瀾万丈な生涯をつぶさに描写した名作。自由を求め悲劇へと向かっていくエリザベートと、彼女を愛した皇帝、とりまく人々とのドラマが美しいタッチで綴られています。

エリザベートの生涯を描いた『マンガ 皇妃エリザベート』(著:名香智子、原作:デ・カール・ジャン、発行:講談社+α文庫/絶版)

その美貌と波乱の人生で、世界中で人気がある皇妃エリザベート(©︎ Bundesmobilienverwaltung/Gerald Schedy)
オーストリアでエリザベートの聖地を巡りたいなら、まず訪れたいのがウィーン中央にある世界最大級の王宮「ホーフブルク王宮」でしょう。

ウィーンの中心に位置する「ホーフブルク王宮」(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Julius Silver)
1918年までハプスブルク家の王宮として使われていたこの宮殿は、今でも連邦大統領の公邸や欧州安全保障協力機構の常設会議場などが置かれており、オーストリアの政治の中心として機能しています。また、宮殿内にはハプスブルク家が統治していた時代の貴重な財宝が多く保管されており、皇帝が暮らした部屋や宝物館を見学できます。

「ホーフブルク王宮」の内部にあるフランツ・ヨーゼフ1世の居間(©︎ SKB/Alexander Eugen Koller)

「王宮宝物館」にある王冠(©︎ KHM-Museumsverband)
広い敷地内には、世界でもっとも美しい図書館のひとつ「オーストリア国立図書館」や、ウィーン少年合唱団が毎週の日曜礼拝で聖歌を歌う「王宮礼拝堂」といった文化的な施設も置かれています。エリザベートが過ごした宮殿を巡りつつ、さらに知的好奇心を刺激するのにはぴったりのスポットです。

世界でもっとも美しい図書館のひとつ「オーストリア国立図書館」(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Volker Preusser)
そしてエリザベートファンならマストで訪れたいのが、ホーフブルク王宮内にある「シシィ博物館」(シシィ=エリザベートの愛称)です。その名からもわかるとおり、こちらはエリザベートの貴重な私物や資料を展示したファン必見の施設。エリザベートが実際に着用していた衣服やアクセサリー、直筆の手紙が入ったキャビネット、幼少期に奏でていたハープ、デスマスクなど、総数300点以上の貴重な展示品を見ることができます。

「シシィ博物館」のエントランス(©︎ SKB, Photographer: Alexander Eugen Koller)


館内にはエリザベートの貴重な私物や資料が展示されている(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Cross Media Redaktion)
ホーフブルク王宮はエリザベートが皇帝と暮らした王宮として有名ですが、実は、新婚生活を過ごしたのはウィーンの南にある「ラクセンブルク宮殿」でした。皇太子ルドルフ(1858〜1889年)が生まれたのも、この「ラクセンブルク宮殿」です。

ウィーン南方に位置する「ラクセンブルク宮殿」(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Cross Media Redaktion)
緑豊かで広大な「ラクセンブルク宮殿」には、古典ロマン派の代表的な建築物である「フランツェンスブルク城」をはじめ、数々の離宮や庭園が建設されています。特にドイツの造園家ペーター・ヨーゼフ・レンネが設計した庭園の美しさは、息を呑むほど。ヨーロッパ随一の庭園として、芸術作品としても高く評価されています。
エリザベートはバイエルンで自然に囲まれてのびのび育ったため、息苦しい「ホーフブルク王宮」から離れた「ラクセンブルク宮殿」の広い庭を散歩するのが大好きだったとか。
この庭園は市民の憩いの場として一般開放されているので、エリザベートの史跡を辿りながら、ぜひ訪れてみてください。公共交通機関を使えば、ウィーン中央駅から30分程度で行くことができます。

緑豊かなラクセンブルク宮殿内の庭園(©︎ Ulli Cecerle-Uitz)
ヨーロッパの運命を翻弄し続けた王朝…ハプスブルク家の栄華と足跡
オーストリアを歴史的な側面から見るとき、ハプスブルク家(別名:オーストリア家)の存在は絶対に欠かせません。何世紀にもわたってヨーロッパを広く統治したハプスブルク家は、歴史上もっとも重要な王朝のひとつとして数えられています。
ハプスブルク家といえば、先述のフランツ・ヨーゼフ1世や皇妃エリザベートをはじめ、「中世最後の騎士」と呼ばれるマクシミリアン1世、第6代神聖ローマ帝国皇帝のルドルフ2世など、さまざまな王族が歴史に名を刻んでいます。
なかでも日本人にとってもっとも馴染み深いのは、女帝マリア・テレジアの子であるマリー・アントワネットではないでしょうか。そしてマリー・アントワネットが登場する漫画作品といえば、誰もが知る不朽の名作『ベルサイユのばら』(著:池田理代子)です。
『ベルサイユのばら』はフランス革命前後のベルサイユを舞台に、マリー・アントワネットや、軍人として育てられた男装の麗人オスカルらの生涯をドラマティックに描いた歴史ロマンとして、誕生51年目を迎えた今でも多くのファンを魅了してやみません。
さて、『ベルサイユのばら』略して「ベルばら」の舞台というと真っ先にフランス・ベルサイユ宮殿が思い浮かぶかもしれませんが、実は物語の冒頭にはオーストリア随一の名所「シェーンブルン宮殿」が登場しています。

『ベルサイユのばら』(著:池田理代子)より
マリー・アントワネットの生誕地でもある「シェーンブルン宮殿」(ウィーン)は、ハプスブルク王朝の歴代君主が“夏の離宮”として使用していた格式ある宮殿。ヨーロッパでもっとも華麗なバロック用式の建築物として数えられ、その歴史的価値の高さからユネスコ世界文化遺産にも登録されています。ちなみに、「シェーンブルン(Schöner Brunnen)」は「美しい泉」を意味します。

ハプスブルク家の“夏の離宮”である「シェーンブルン宮殿」(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Julius Silver)
皇室内には1441もの部屋が用意されており、現在はそのうち45部屋が見学ツアー用に開放されています。また、敷地内にある美しい庭園は無料で開放されており、色鮮やかに咲き乱れる花や名物である噴水、彫像などを見ながらゆっくりと散策するのがおすすめ。小高い丘を登った先にあるカフェ「グロリエッテ」からは、「シェーンブルン宮殿」越しにウィーンの街並みを一望できます。

「シェーンブルン宮殿」の庭園は、その美しさからオーストリアを代表する名園とされている(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Julius Silver)

「シェーンブルン宮殿」の敷地内にある「グロリエッテ」。1775年に完成し、ハプスブルク皇帝の宴会場や朝食ルームとして使われた。現在、建物の中はカフェレストランになっている。(©︎ Österreich Werbung, Photographer: Daniel Ordelt)

「グロリエッテ」から「シェーンブルン宮殿」越しに見えるウィーンの街並み(©︎ Oesterreich Werbung Tokyo)
そのほかにも世界最古の動物園「シェーンブルン動物園」や皇帝家の馬車博物館「ヴァーゲンブルク」、5000種以上の植物が生息するヨーロッパ最大規模の温室「パルメンハウス」など、「シェーンブルン宮殿」の見どころは本当に盛りだくさん。
春のイースターマーケットをはじめ、夏にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による一夜限りの無料野外コンサートが開かれたり、冬には幻想的なクリスマスマーケットが行われたりと、さまざまなイベントも開催されています。

世界最古の動物園「シェーンブルン動物園」では、ジャイアントパンダやゾウ、コアラなど、さまざまな動物が飼育されている。また工夫を凝らした展示方法が評価されて、ヨーロッパのベスト動物園に6回輝いている(© Österreich Werbung, Photographer: Ulli Cecerle-Uitz)

夏にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による一夜限りの「サマーナイトコンサート」を楽しめる。2024年は6月8日開催予定(©Julius Silver)
ハプスブルク家ゆかりの地としては、マリア・テレジアと神聖ローマ皇帝フランツ1世、マリー・アントワネットとルイ16世(代理人)、フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートなどが結婚式を挙げた「アウグスティーナ教会」も見逃せません。こちらは宮廷御用達の教会として、「ホーフブルク宮殿」に連なる形で14世紀に建設されました。
荘厳かつ華やかな装飾はもちろんのこと、特に注目なのが、教会奥にある「ロレート礼拝堂」。ここにはハプスブルク家の心臓安置所があり、ガイドツアーに参加することで見学することも可能です。

ハプスブルク家御用達の教会「アウグスティーナ教会」の内部(©︎ Augustiner Wien)
さらに、市内から地下鉄やバスで気軽に行けるウィーンの森には、多数の王侯貴族をはじめ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなども滞在したという温泉保養地「バーデン・バイ・ウィーン」があります。
弱硫黄泉が豊富に湧出する「バーデン・バイ・ウィーン」では、いくつもの温泉施設が点在するだけでなく、ワインの生産地としても有名。歴史ある温泉で心身ともにリラックスしてから、美味しいワインとグルメに舌鼓を打つというプランもよさそうです。
ちなみに、ベートーヴェンが『第九』の大部分を書いたのも、ここ「バーデン・バイ・ウィーン」だと言われており、ベートーヴェンが滞在した家が「ベートーヴェンハウス」として記念館になっています。

「バーデン・バイ・ウィーン」にある伝統的なスパ「バーデン・ローマ温泉(Römertherme Baden)」(Copyright: GG Tourismus der Stadtgemeinde Baden, Photographer: Rainer Mirau)
さて、ここまで漫画作品や歴史を絡めながらその魅力を掘り下げてきましたが、もちろんこれらはオーストリアの楽しみ方のまだまだほんの一部。
特にスイーツは必食で、ウィーンには多くのケーキ屋が軒を連ねています。マリー・アントワネットの好物だった「クグロフ」やエリザベートも愛した「ザッハートルテ」などは、ぜひ現地で食べておきたいところです。
そのほかにも人気のカフェを巡ったり、バラエティ豊かな伝統料理を味わったり、ショッピングを楽しんだり……気の向くまま、その歴史ある街並みを散策してみましょう。きっと素敵な出会いが待っているはずです。
文/毛内達大
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