カメラ機能が充実するコスパのよいスマートフォンとして、その人気が高まっている「Google Pixel」シリーズ。昨年はWear OSを搭載するシリーズ初のスマートウォッチ「Google Pixel Watch」や、ノイズキャンセリング機能を搭載したワイヤレスイヤフォン「Google Pixel Buds Pro」が発売されるなど、Pixelシリーズとしてのラインナップも充実してきています。
そして6月20日に発売されたのが、Pixelシリーズ初のAndroidタブレット「Google Pixel Tablet」(以下、Pixel Tablet)です。

〈Pixel Tabletレビュー〉専用ホルダーでスマートスピーカーに早変わり! 待望のGoogle純正タブレット「Pixel Tablet」はiPadと何が違う?
Googleが純正のAndroidタブレット「Google Pixel Tablet」を6月20日に発売した。Pixelシリーズ初のタブレットがどんな製品なのか。AppleのiPadシリーズと比較しながら、その特徴と実力をレポートしよう。
Androidの最先端が楽しめる仕様に
Androidの最先端が楽しめるGoogle純正タブレット

11インチのタッチ液晶を搭載する「Google Pixel Tablet」
Pixel Tabletは約11インチの高精細液晶ディスプレイを搭載し、バスタブ構造の樹脂素材を採用する本体の外装にはナノセラミックコーティングコーティングをかけて、スタイリッシュかつ手に馴染むデザインを実現。カラーバリエーションには、今回筆者が試したホワイト系の「Porcelain」のほか、グレー系の「Hazel」が用意されています。
また、Googleが独自に設計したSoC(システム・オン・チップ)である「Google Tensor G2」を搭載している点も注目どころのひとつ。
Tensor G2はフラグシップモデルのスマホ「Google Pixel 7 Pro」にも採用されており、マルチタスクの処理性能が高く、11インチの画面を2つに分割してフォトアプリに保存している写真をGmailにドラッグ&ドロップして友だちに送る、といった使い方も難なくこなします。
またTensor G2は、その処理性能を写真や動画撮影にも活かしています。Pixel Tabletには本体の裏表に8メガピクセルのカメラを搭載しており、たとえば高精細でスムーズなフルHDビデオが撮れるフロントカメラは、ビデオ会議などの用途にも役立つこと間違いなしです。

背面・前面に8MPのカメラを搭載。ナノセラミックコーティングコーティングの本体の質感も良好だ

アスペクト比16対10のディスプレイはやや長辺が長め
Pixel TabletはGoogleの最新Android OSを搭載しています。発売日時点のバージョンは「Android 13」ですが、次期「Android 14」が7月以降に正式リリースをされれば、すぐにアップデートしてOSの最新機能が使えるようになるでしょう。
なお、Googleは「Feature Drop(フィーチャードロップ)」として、PixelシリーズなどGoogle純正デバイスのために、ほかのAndroidデバイスよりも先にOSの最新機能を提供するサービスを定期的に行っています。そのため、Pixel Tabletは「最先端のガジェットを使いたい!」というAndroidファンには必携のアイテムといえます。
スマートスピーカーになる専用ホルダーが付属
Pixel Tabletの最大の特徴は、同梱の「充電スピーカーホルダー」と接続することで、ディスプレイ付きスマートスピーカーになることです。
Googleは音声およびタッチ操作に対応するディスプレイ付きスマートスピーカー「Nest Hub」シリーズをすでに販売していますが、Pixel TabletでもGoogleアシスタントを使った音声操作を行えます。最新のニュースや今日の天気をサッと教えてもらったり、スマートホーム機器をコントロールしたりと、自宅の“司令塔”として活躍するでしょう。

充電スピーカーホルダー(右)とタブレット(左)は、強力なマグネットで吸着。専用の4ピンポゴプラグによりつながり、充電と音声信号の伝送などが行われる
この充電スピーカーホルダーには、43.5mm口径のスピーカーユニットが搭載されています。Pixel Tabletの背面にある4ピンプラグをホルダー側のコネクタに装着すると、タブレットを充電できるだけでなく、タブレットで再生しているコンテンツの音声がスピーカーに送り込まれます。
たとえばNetflixやYouTubeのビデオコンテンツを再生すると、タブレットの内蔵スピーカーだけで聴くよりも、セリフ(ダイアローグ)がグッと聴きやすくなるうえ、中低音域の音に厚みが増して、より充実した視聴体験になります。

43.5mm口径のスピーカーを内蔵。映画や音楽コンテンツのサウンドを力強く再生する
なお、タブレットに充電スピーカーホルダーを装着した状態でも約493gと軽量なので、リビングルームやキッチン、子ども部屋などさまざまな場所に持ち運びやすいのもメリット。充電スピーカーホルダーは17,800円(税込)で単品販売されるので、リビングと子ども部屋に1台ずつを置いてもよさそうです。
プライバシーを守りながら、最大8人で1台を共有
Pixel Tabletは、複数の家族がいる家庭の「リビングルームのタブレット」として最適なデバイスです。1台のPixel Tabletに最大8人までユーザー情報を登録して、指紋とPINコードにより、各自のプライバシーを守りながら使うことができます。

指紋による生体認証に対応。登録した複数のユーザーのアクセスを選り分けられる
またGoogle TVまたはAndroid TVを搭載するスマートテレビに、Pixel TabletからWi-Fi経由でコンテンツをキャスト再生する「Chromecast built-in」機能も便利です。
Chromecast built-inを使えば、YouTubeやそのほかの動画配信サービスのコンテンツを、リビングルームの大きなテレビに映して観ることができます。ユーザーを別々に登録すれば、家族共有のタブレットでありながら、自分のお気に入りの動画や音楽、Googleドライブに保存した写真をよりプライベートに、大画面に映して楽しむこともできます。

ユーザーは最大8人登録可能。アクセス時にロック画面からユーザーを選択できる
肝心の価格ですが、充電スピーカーホルダーが付属するとはいえ、AppleのiPad(第10世代)の最小構成モデル(68,800円)よりも、Pixel Tabletのほうが1.1万円ほど高価です。しかし、家族全員で安全にシェアしながら便利に使えることを考えれば、79,800円(税込)からという価格には納得感があり、十分に元を取れそうです。
iPadに比べてちょっと物足りない点も…
筆者はPixel Tabletを発売の前後から1週間以上使ってみましたが、iPad(第10世代)に比べると、やや物足りなく感じるポイントもありました。
ひとつは、Apple Pencilのような専用スタイラスペンと、Magic Keyboard Folioのようなポータビリティにも優れる専用キーボードがないことです。
Pixel TabletでもUSI(Universal Stylus Initiative)2.0に対応するスタイラスペンとBluetoothキーボードやマウスなどサードパーティの入力デバイスが使えます。
しかし、特に専用に設計されていないキーボードでは、製品によっては「かな/英数変換」などのキー操作が煩雑になることが多いため、わざわざキーボードを用意して外出時に持ち歩いて使おうという気持ちになりません。

リングスタンドが付いた別売りの純正ケース「Google Pixel Tablet ケース」(12,800円)
もうひとつが、スマホのPixel 7/Pixel 6シリーズの上位機で使える「空間オーディオ」再生に対応していないことです。
没入感のあるサウンドを楽しめる空間オーディオは、約11インチの大きな画面がとても活きるエンターテインメントだと筆者は感じています。Googleには、空間オーディオに対応するコンテンツを増やすと同時に、それらをPixel Tabletで楽しめるように“なる早”でソフトウェア・アップデートなどを実施してもらいたいところです。

Google純正のワイヤレスイヤフォン「Google Pixel Buds Pro」で音楽再生。アップデートによる空間オーディオ対応にも期待したいところだ
とはいえ、それはあくまでiPadと比較した場合の話。先述のように家族全員で使うホームタブレットとして、Pixel Tabletは非常に優秀なデバイスです。
今後は本機をスタンダードモデルとして据えながら、エンターテインメントやビジネス向け機能を強化した「Pro」や、本体にセルラー通信機能を付けて、専用のペンやキーボードと一緒にノートPCの代わりとしても使える「Business」など、Pixel Tabletのシリーズ化も進むかもしれません。
シリーズとしての今後の展開にも、期待が持てそうです。
文・写真/山本敦
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