株式会社ワコールが2001年から行っている下着教室“ツボミスクール”の中で、実際に聞かれる保護者の悩みや相談は、「そろそろつけないといけないからと渡してもつけたくないと言われる」「友だちがつけていないから恥ずかしい」のように、子どもが聞く耳を持ってくれない場合と、子どものからだの成長が親世代より早いため、どう声掛けしたらいいのかわからないという場合が多いようだ。
ワコール人間科学研究開発センターのデータによると、1980年代と2000年代を比較するとバストが成長する時期は明らかに変化している。
特に11歳においては、バストがふくらみ始めた女の子の割合が、1980年代は46%に対して2000年代は63%になっている。
また、12歳までに初経を迎える割合も、1980年代は20%に対して2000年代は38%になっていて、からだの成長は親世代に比べて早い。
「成長に個人差はありますが、早い子では小学校低学年からバストがふくらみ始めるお子さんもいます。小学校4~5年生くらいになると、お風呂も1人で入ったり、親の前で着替えるのを恥ずかしがったりするので、なかなか子どものからだの成長がわかりにくいものです。
ですから、今の子どもは親が考えているよりからだの成長が早いということを、まずはご理解いただきたいと考えています」(上地さん)
子どもへのブラジャー着用の声掛けは、子どものバストの成長ステップに合わせて行うのがポイントだ。
ワコール人間科学研究開発センターの研究では「初経」と「バストの成長」に深いつながりがあることがわかっている。
女の子の成長期のバストは初経前後の約4年間で大きく成長する。
STEP1は初経1年以上前で、乳頭周辺がふくらみ、STEP2は初経を迎える頃にはふくらみが横に広がる。そしてSTEP3では初経から1年以上後、立体的にふくらむ。
その後、大人のバストのように柔らかなバストに変化していく。
「ブラの声掛けはSTEP1くらいからしていただくのが理想です。
この頃になると、トップがチクチクする、洋服や体操着から透けるのが気になり始めるころなので、まずはトップ部分をふんわり守るインナーからつけ始めるのがおすすめです」(上地さん)
「いつからどんなブラが正解?」親が悩む子どもの初めてのブラ選び。バストの成長3ステップごとに選びたい
小学生の女の子を持つ親にとって、ブラジャーをいつからつけ始めさせたらいいのか、は悩むところ。また思春期のため、からだの成長と下着についてどう話せばいいのか、戸惑うことも。成長期にあたる女の子とその保護者を対象に、株式会社ワコールが行っている下着教室の“ツボミスクール”の講師であり、宣伝部宣伝課の上地朋子さんに、子どものための初めてのブラ選びについて訊いた。
成長期のバストは初経前後の約4年で成長する

株式会社ワコール MY BODY BOOKより一部抜粋
バストの成長に合わせたブラを選ぶ
ブラジャー選びは、バストの成長に合わせてするのがポイントだと上地さんは言う。
STEP1のバストのトップや周辺がふくらみ始めたら、トップ部分が二重になっているインナーでふんわりバストを守るものがおすすめだとか。
「バストにあたる部分が二重やふかふかしたキャミソールタイプがおすすめです。デリケートなバスト周りを守ってくれるので、恥ずかしさもやわらいで、着用しやすいでしょう。まだつけたくないというお子さんも聞く耳をもってくれると思いますよ」(上地さん)

オーガニックコットンプレミアム混ジュニアブラトップ(キャミソール)/ワコールジュニア
STEP2ではバスト全体がふくらみ始めるため、バストの変化に応じてフィットするものを選ぶのがポイント。この頃がいわゆる本格的なブラデビューとなる。
「からだもどんどん成長していくので、伸縮性のある素材を選ぶのがポイントです。バストのふくらみに合わせて優しく包み込むハーフトップタイプがおすすめです。着脱もしやすく、ストラップもアンダーも柔らかな伸びのあるものだと、締め付け感が軽減され、着用しやすいでしょう。
もう1つ保護者からよく聞かれるのがスポーツブラでもいいか?ということです。
スポーツブラとハーフトップブラの主な違いは、バックストラップの形や素材です。
スポーツブラはバックがY字になっていて、運動するときにストラップがズレにくくなっていたり、汗を吸いやすい素材でできていたりします。
サイズが合っていて、よく運動をするというお子さんなら、スポーツブラでももちろんOKです。
ただし、スポーツブラはメーカーによっては、140、150など身長サイズで表記されていて、必ずしも身長とバストのサイズが一致するわけではないので、サイズ選びにはご注意いただければと思います」(上地さん)

左:ノンワイヤーかぶりタイプ、右2点:スポーツタイプ/ワコールジュニア
STEP3の頃になると、バストは大人のように丸く立体的にふくらむため、きちんと支える機能があるブラに変えることが大切に。
「見た目は大人のバストですが、まだまだ成長中の硬いバストです。
ワイヤー入りのブラを選ぶときには、バストの圧迫が少ないやわらかな素材のもので、成長を妨げずバストを支えるブラジャーを選びましょう。成長に合わせた緩やかなL字ワイヤーがおすすめです」(上地さん)

樹脂素材のワイヤーなので、柔らかくバストを支えてくれる。L字樹脂ワイヤー【STEP3】ジュニアブラジャー/ワコールジュニア
また、購入前にサイズをきちんと測ることが大切。自分で測ることは難しいので、保護者がサポートしてほしいと上地さんは言う。
「ふくらみが一番高いところとふくらみのすぐ下を測りましょう。測るときにメジャーはなるべく床と水平にするのがポイントです」(上地さん)
初ブラ選びをきっかけに
親子でからだのことを話してほしい
ただバストがふっくらしてきたから、ブラをつけなくてはいけないということを言っても、思春期の子どもは戸惑ってしまうもの。
なぜからだが変化するのか、下着をつけることが自分だけの大切な場所を守ることになるということを子どもに理解してもらう必要があると上地さんは言う。
「学校では思春期のからだの変化や初経についての授業はありますが、下着選びまで言及することは少ないです。からだをしっかり守るとため、また防犯という面でも成長に合わせてからだに適した下着を身につけることが大切だということを伝えないといけないと考えています」
ワコールでは、2001年から小学校4年生~中学3年生までの女の子と保護者を対象に“ツボミスクール”を開催し、学校での出前教室や、オンライン講座(学ブラ講座)を行っていて、好評だ。
小学生が対象の授業では、成長期の体型に個人差があることや大人になるまでのからだの変化について解説や、成長に合った下着選びの必要性やサイズの測り方、下着の洗濯方法などゲームを交えながら学ぶことができる。
「講座を通して、バストの成長や悩みを共有していただき、親子のコミュケーションのサポートができればと思っております。
いつも講座では、さまざまなご質問をいただくので、お母さまが経験したことでもお子さんのブラ選びに悩んでいらっしゃるということを実感します。
親子向けだけでなく、保護者向けの講座もご用意していますし、オンライン講座もございますので、気軽にご参加いただければと思います。
ファーストブラ選びが親子でからだのことを話せるきっかけになってほしいですね」(上地さん)

株式会社ワコール 宣伝部 宣伝課 (ツボミスクール、学ブラ講師)上地朋子さん
取材・文/百田なつき
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