低打率ながら奇跡の名作を生みだす

皆さんは〝アサイラム〟という映画スタジオをご存じだろうか。マイケル・ベイ監督の映画『トランスフォーマー』(2007年)に便乗して『トランスモーファー』(2007年)なるパチモン映画をリリースしてみたり、低予算早撮りの単純娯楽映画を粗製乱造し、数で勝負してみたりと、そのクセの強い製作スタイルがファンの間では有名だ。

それゆえ打率は低めのスタジオではあるのだが、ときにはなにかのはずみで、ちょっとした良作・名作が生まれることもある。というわけで今回は、悪名高きアサイラム社から奇跡的に生まれた〝割と面白い方のアサイラム映画〟についてご紹介しよう。

第5位:『ZOOMBIE ズーンビ』(2016年)

パクリ、低予算、おふざけが生む悪名高き「アサイラム」映画の傑作ベスト5_1
すべての画像を見る

アサイラム社が誇る異色のゾンビ映画が、『ZOOMBIE ズーンビ』(2016年)だ。その間の抜けた響きのタイトルが表す通り、動物園(ZOO)が舞台の作品だ。

「とある動物園に、謎のウイルスが蔓延。多種多様な動物たちが次々とゾンビ化していき、人類を襲う」というストーリーの本作。見所はもちろん、上記の舞台設定をぞんぶんに生かしたアニマルゾンビたちの活躍だ。

すばしっこいゾンビモンキーの襲撃や、獰猛なゾンビライオンとの対決、仕留めた相手の断末魔を真似するゾンビオウムの薄気味悪さなど、その見所には事欠かない。さすがに映像面の安っぽさまでは否めず、脚本面もかなり大味なものの、バリエーション豊富なアニマルゾンビの襲撃シーンが見てくれの悪さを補っている。いわゆる〝ポップコーン・ムービー〟として、あまり細かいことは考えずにそのジャンク感を楽しむべき一本になるだろう。

『ZOOMBIE ズーンビ ネクスト・レベル』(2019年)なる続編も存在するため、2本併せてお楽しみいただきたい。