新設人気校に見られる改称変更と共学化

子供の受験を考えている保護者が、実際に偏差値表に目を落としてみると、親世代にはあまり馴染みのない難関校も散見される。これらの“見知らぬ難関校”が支持されている理由や、昨今の受験校選びの傾向を、国語の講師として40年近くに渡って中学受験生の指導にあたってきた「龍馬進学研究会」(千葉県船橋市)の安本満氏に話を聞いた。

《中学受験》渋谷教育学園渋谷、広尾、三田国際、サイフロ…親世代が知らない中学・高校はいかにして難関校になったのか。カリキュラムや進学実績だけでない人気の理由_1
「龍馬進学研究会」の安本氏
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■新設された難関校(カッコ内は偏差値)
・渋谷教育学園渋谷中学(男子73〜75、女子75〜77)
→ 渋谷女子高校を1996年に共学の中高一貫校に改変

・広尾学園中学(男子70〜73、女子70〜75)
→ 順心女子学園中学・高校を2007年に共学の中高一貫校に改変

・広尾学園小石川中学(男子67〜71、女子67〜71)
→村田女子中学・高校を2021年に共学の中高一貫校に改変

・三田国際中学(男子65〜71、女子66〜71)
→戸板女子中学・高校を2015年に共学の中高一貫校に改変

・開智日本橋(男子62〜70、女子63〜71)
→日本橋女学館中学・高校を2018年に共学の中高一貫校に改変

・横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学(男子69、女子72)
→鶴見工業高校を解体し、2008年に共学高校として新設。2017年に附属中学を設置

(※偏差値は、首都圏模試センターの2023年向けの数値を引用)

平成以降に躍進を遂げた難関校は、名称変更と共学化のプロセスを辿っているケースが多く見受けられる。その口火を切ったのが、1996年に新設された渋谷教育学園渋谷(以下:渋谷渋谷)だ。渋谷教育学園幕張(以下:渋谷幕張)を全国屈指の進学校に育てあげた田村哲夫氏が、渋谷女子中学校を共学・中高一貫校に改変した。

同校は、渋谷幕張で残した輝かしい実績や、当時はまだ少なかった共学の進学校という希少性。さらには、田村氏の母校で、御三家の一つに数えられる麻布学園の教育理念でもある『自調自考』を取り入れた自由な校風も人気を博し、東大合格者40名(2023年)を輩出する難関校に成長した。