今が人生でいちばん楽に生きている

愛人とラブホテルで覚せい剤・大麻所持で逮捕。すべてを失った高知東生が、依存症回復途中の今、いちばん人生で楽に生きられている理由_4

――薬物に限らず、甘い誘惑がやって来たとき、どうシャットアウトすればいいと思いますか?

シャットアウトするというより、ありのままの自分で接すればいいんですよ。シャットアウトって、その姿勢がもう、肩に力入ってるでしょ。薬物をすすめてくる人がいたら、「カウンセリング行きますか?」「一緒に警察行きましょうか?」って言えばいいんです。

愛人とラブホテルで覚せい剤・大麻所持で逮捕。すべてを失った高知東生が、依存症回復途中の今、いちばん人生で楽に生きられている理由_5
2020年、厚生労働省が主催する「依存症の理解を深めるための普及啓発イベント」にて。国立精神・神経医療研究センター薬物依存症センター長の松本俊彦さん、元NHKアナウンサーの塚本堅一さん、元プロ野球選手の清原和博さん、歌手で俳優の杉田あきひろさん、俳優の高知東生さん、「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さん
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――最後に、リカバリーカルチャー(依存症から立ち直ること)についても、聞かせてください。

自分なりの償いとして、僕の役割は正しい知識を広めることだと思っています。過ちを犯した人が、どういうプロセスを経て、己と向き合い、回復のステップを歩んでいるのか。それをできるだけ丁寧に伝えたいですね。多様性を認めること、古い価値観をアップデートすること、それも回復のプロセスなんです。

僕の場合、天涯孤独だったことが、かえってよかったと言われます。誰にも頼れないからこそ、自助グループに頼るしかなかった。依存症に完治はありません。いつまで経っても回復の途中なんです。

こんなにすべてを失った人間が、講演してくださいって言われたり、小説を書いてくださいって言われたり、インタビューさせてくださいって言われたり、もう感謝しかない。

ありのまま正直に生きるって、すっごい楽ですよ。

#1 ヤクザの親分の父と愛人の母の間に生まれて…「俺に文句あるのか!」とツッパりまくって生きてきた高知東生は罪を犯した後、どう生き直しているのか

#2 自殺直前の母がつぶやいた忘れられない一言。「大人は誰も信じられない」連日の喧嘩で上京、AVプロダクション設立、嘘だらけの芸能界デビュー、嶋大輔との伝説の喧嘩を高知東生が語る

取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/高木陽春