今が人生でいちばん楽に生きている
――薬物に限らず、甘い誘惑がやって来たとき、どうシャットアウトすればいいと思いますか?
シャットアウトするというより、ありのままの自分で接すればいいんですよ。シャットアウトって、その姿勢がもう、肩に力入ってるでしょ。薬物をすすめてくる人がいたら、「カウンセリング行きますか?」「一緒に警察行きましょうか?」って言えばいいんです。
――最後に、リカバリーカルチャー(依存症から立ち直ること)についても、聞かせてください。
自分なりの償いとして、僕の役割は正しい知識を広めることだと思っています。過ちを犯した人が、どういうプロセスを経て、己と向き合い、回復のステップを歩んでいるのか。それをできるだけ丁寧に伝えたいですね。多様性を認めること、古い価値観をアップデートすること、それも回復のプロセスなんです。
僕の場合、天涯孤独だったことが、かえってよかったと言われます。誰にも頼れないからこそ、自助グループに頼るしかなかった。依存症に完治はありません。いつまで経っても回復の途中なんです。
こんなにすべてを失った人間が、講演してくださいって言われたり、小説を書いてくださいって言われたり、インタビューさせてくださいって言われたり、もう感謝しかない。
ありのまま正直に生きるって、すっごい楽ですよ。
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取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/高木陽春