配信中、ファンが課金アイテムを投げる心理というのはよくわかるという。

「私もオタク気質なので、気持ちはすごくわかります。純粋に応援したいという気持ちプラス、応援してる子の順位をもっとうえに上げてあげたいっていう心理が働くと思います。一種の『義務感』も生まれてしまうのかなと思いますね」

河本さんはミスコン終了後、すぐに大手芸能事務所に所属することになった。

「ミスコンが終わった後、大手芸能事務所に面接に行ったんですよ。結局、私の代は8人中約7人が芸能事務所に入りました。私は2年間、大手事務所でお世話になった後、もっと女優業をメインにしたくなり、事務所を移籍しました」

こうして河本さんは、ミスコンを通じて、夢だった芸能界入りを果たすことができた。

しかし一方で、ミスコンはルッキズムなどの観点で批判もある。河本さんはどう考えているのだろう。

「ルッキズムからの批判があることは知っています。でも実際に出た立場からいうと、参加者で『私はかわいい』と思っている人はほとんどいないですね。それにSNSのファンが多い人が美人かというと、必ずしもそうでもない。評価されるのはその人のトーク力だったり、考え方だったりする面もあります。そういう意味で審査にSNSを導入して、その人の外見以外の魅力を見つけようという動きはいいことだと思います」(河本さん) 

長時間耐久レースのミスコン

一方で、「ミスコンのSNS活動で疲れてしまった」という出演者もいる。昨年、大学のミスコンに参加した東京都内の有名私大3年生のAさん(21)もそのひとりだ。

「正直、出るかどうかは応募の締め切り当日までずっと迷い続けました。いざ、ミスコンに参加してからは慣れないことばっかりでキツかった」

Aさんが出場したミスコンでは、さきほどの『SHOWROOM』とは違う、ライブ配信アプリを使った審査がもっとも重要だったという。ライブ配信では、視聴者からギフトアイテムを投げてもらい、そのポイント数で順位を争う。

「配信アプリを開いたとき、そのときライブをしている人のアイコンがずらっと並ぶんですが、ポイントが高いと、目立つ位置に表示されるんです。目立てばライブを見に来てくれる人がまた増える。相乗効果ですね」

ではどうやれば視聴者をかき集められるか。

「コツはライブの長時間配信です。配信時間の長さに比例して人気が上昇し、獲得するポイントも増えました」

運営団体によってルールは大きく異なる。前出の女子高生ミスコンは参加者が高校生ということもあって、配信時間にも厳しい制限が設けられていたが、Aさんが参加した大学のミスコンは耐久レースのようだったという。

「長い人だと、24時間、ライブ配信していました。一日中寝ないで、もうありのままの姿を見せている感じ(笑)。寝ているところが映ってしまうのはダメなんで、ウツラウツラしながら配信し、頑張って起きていたり。参加者はみんな大学生なんですが、『今日は大学休みます』と言って配信していた人もいました」