金属製の工具で殴られ、半殺しにされることも…

知的障がい者の被虐待リスクは健常児の13.3倍。虐待する父から逃げるために、なぜ誰でもいいから殺そうと思ったのか_2

少年Aの実家は、建設・造園関係の事業を営んでいた。

この土地は、もともと知的障がいのある母親の家族の土地だった。ある日、父親が彼女と男女の関係になって家に転がり込んできて、そのまま乗っ取るような形で事業をはじめたのだ。
父親は暴力団さながらの非常に荒々しい性格だった。妻に対する家庭内暴力は日常茶飯事。生まれてきた長男である少年Aにも知的障がいがあったが、まったく構わずに虐待をしていた。

そうした家庭の中で少年Aの心がどんどん追いつめられていったことは想像に難くない。

一般的に知的障がい児は健常児より13.3倍も虐待を受けるリスクが高いとされているが、対人関係が苦手な分、傷つき体験も甚大になる傾向にある。同じ虐待を受けても、障がい児は大きなトラウマを抱えやすいのだ。

小学校の高学年になる頃には、少年Aの言動には大きなゆがみが見られ、人とぶつかることも多かった。中学の卒業を迎えると、父親はそんな息子の進学を許さず、自分の会社で働かせた。

この頃、父親は自社で障がい者を雇い、その手当の上前をはねていた。いわゆる、貧困ビジネスである。おそらく息子に障がいがあるのをいいことに、金儲けに利用しようとしたのだろう。

会社でも、少年Aは父親からくり返し虐待を受けていた。金属製の工具で散々殴られ、息も絶え絶えの半殺しにされたこともあったらしい。少年Aはそんな家から逃れようと、度々家出をしたが、障がいゆえに計画がずさんで、すぐに捕らえられてしまった。その都度、父親からは筆舌に尽くしがたい体罰を受けたという。

そんな中で、事件が起こる。