大切なのはつながりの数ではなく質
もうひとつポイントがあります。肯定的な社会関係があっても、その数はあまり多くないほうがいいのです。数が多いと脳が処理しきれないからです。数ではなく、大切なのはつながりの質です。腹を割って話せる親しい人がいることが大切なのです。
すでにそういう相手がいる人はいいのですが、いない人はそういう相手をつくることをおすすめします。ただ、「妻とはなんでも話せる関係ではない」「子どもとは価値観が違いすぎる」「会社の同僚や知人は増えたけど、親友と呼べる友人は大人になるとなかなかつくれない」…そんな声も耳にします。
ちなみに、仲がいい人が一人でもいれば脳の認知機能も幸福度も上がりますが、だからといって仲のいい人が二人以上はいらないというわけではありません。複数人いることはいいことです(くり返しますが、多すぎない範囲で)。また、後述しますが新しい人間関係をつくることも脳に刺激を与えてくれます。仲のいい人が一人以上いて、さらに新しい人間関係づくりにも挑戦する。これが脳を活性化させる方法のひとつで
す。
話は少しずれますが、こんな調査結果もあります。
「こじんまりとしたパブに行く回数が多い人は幸福度が高い」
こんなことまで調べる人がいるのかと思いましたが、この結果は興味深いです。規模の大きな飲み屋さんに行く人よりも、小さめのパブに行く人のほうが人との親密度が増し、そこでのコミュニケーションが脳の認知機能も上げてくれるということです。
この調査結果は「なじみのスナックやバーがある人は幸福度が高い」ということでもあります。確かに、知人でもスナックが大好きな人が何人もいますが、みなさん、なじみのスナックがあることが喜びになっているようで、よくスナックでの話を楽しそうに教えてくれます。