“虚栄心”はジョニー・デップが持ち込んだもの
――本作では、闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドを演じています。オファーをもらったときの感想を教えてください。
『ハリー・ポッター』シリーズは子どもたちとずっと楽しんでいた。娘や、当時はまだ幼かった息子とね。娘は1作につき10回も見ているくらいの大ファンだが、私はそれぞれ1回だけ。それでも、この映画の世界観の素晴らしさはわかっている。J・K・ローリングが創造した魔法世界はマジカルなだけでなく、ちゃんと地に足がついているからこそ、大人も共感できるんだ。だから、オファーをもらったときの最初の感想は「世界中の人々に愛されている作品に関われる、またとない機会になる」だったよ。
――グリンデルバルドは、みんなから恐れられる邪悪な魔法使いです。それでも「共感」できましたか?
キャラクターを理解する上で、その人物と同じ意見である必要はない。しかし、なぜ彼がそういう考えに至ったのか? そこは理解したいと思っている。かつて私がTVドラマ(『ハンニバル』)で演じたハンニバル・レクターという男。彼の行動は、私たちから見ると「恐怖」以外の何ものでもない。しかし、彼の視点で見ると「美しい」なんだよ。彼は自分自身の「美」を追求しているんだ。グリンデルバルドのときも、私は同じように考えた。彼はマグル(人間)のいない世界が魔法族にとってはもっとも快適で美しいと思っているとね。そうやって、私はグリンデルバルドに「共感」したんだ。
――グリンデルバルドは、1・2作目でジョニー・デップがすでに作り上げていたキャラクターです。彼の後に演じることについて、どういうことに配慮しましたか?
私はジョニーの作り上げたグリンデルバルド像は素晴らしいと思っていた。そもそも彼はとても才能豊かな役者だから、当然なんだけどね(笑)。しかし、だからといってそれを模倣したくはなかった。それは絶対に大きな間違いだということはわかっていたから、自分なりのグリンデルバルドを作ろうとした。それはどんな人物像なのか? 映画を観て、みなさんに確かめてもらいたい。
――では、ジョニーの作り出した要素は役作りに反映させなかった?
いや、そういうわけじゃない。私だけではなく、みんなジョニーのグリンデルバルドはすごく好きだったんだ。だから、ジョニーが作り上げた一部を拝借したことになる。そのなかでもっとも大きい要素は虚栄心だ。虚栄心はジョニーがグリンデルバルドの弱点として作り出したものだから。