好きな映画はサイコスリラーの二大名作
――今月放送がスタートしたWOWOWオリジナルドラマ『早朝始発の殺風景』では、 主人公・殺風景(山田杏奈)の親友、叶井役として出演されています。青春ミステリーである本作の鍵を握る重要人物ですが、演じてみていかがでしたか。
“重い過去を背負っている女子高生”という役だったので、難しかったです。撮影前から不安でしたし、クランクインした後も、「大丈夫か? 大丈夫なのか?」と、気持ちの整理がついていかないこともありました。
――叶井はある通り魔事件の被害者であり、主人公が行動を起こすきっかけとなるキャラクターです。凄惨な経験をした人物の役づくりには苦労されたのではないでしょうか。
そうですね。私は台本をもらったら、「この人物はどういう人間なんだろう?」って深堀りするのが好きなんです。「友人の前では明るいキャラクターだけど、家族にはどういう顔を見せているのかな?」「内面はどんな性格なんだろう?」って考えるのが楽しい。
でも、今回の役のような非日常的な経験をしたキャラクターの場合は、頭で考えているだけじゃなかなか想像が追いつかない。だから、叶井の役は映画を参考にした部分も多いですね。お芝居の参考にする以外にも、映画は好きで普段からよく見ます。
――映画を選ぶときに注目する点はなんですか?
「今度演じる役に似たキャラクターが出ているから、参考になるかも」という理由で選ぶときもあれば、あらすじに引かれて見ることもあります。お芝居の参考にするのはヒューマンドラマが多いかな? 最近見て面白かったのは『君の誕生日』(2020年)という韓国の作品です。
ほかには、サスペンスやミステリーが大好きです! 特に好きなのは『セブン』(1997年)と『ゾディアック』(2007年)。その作品を選んだきっかけがなんであれ、映画を見るときは「お芝居の参考になるところは積極的に盗んでいこう!」と思って楽しんでいますね。
――どちらもデビッド・フィンチャー監督のサイコスリラーですね。女子高生の好みとしてはかなり渋い。
血しぶきとか、鑑賞していてキツくなっちゃうぐらい凄惨なシーンもあるんですけど、演出も役づくりもすごくて見入ってしまいます。今回演じた叶井にも、通り魔事件の被害者という悲しい過去があります。日常では、経験し難いことだから、自分の経験と照らし合わせて理解するのは難しいですよね。でも、映画から得たものを解釈して自分に落とし込んでいくことで、劇中のキャラクターとして“成立”させられるのかな、と思ったんです。