ガチャガチャの利益構造と、ブームの行く末
年々、進化を続けるガチャガチャ。一回数百円という安さでクオリティの高い景品が手に入るが、メーカー側に利益は出ているのだろうか?
「実際、利益度外視で制作している景品は多いですね。トイズスピリッツが出しているこのドラゴンなんて、23箇所も可動するんですよ。普通のガチャガチャの景品は2~3箇所くらいしか動かないですから、とんでもないですよね。
とはいえどこのメーカーも商品の回転は早いので、採算度外視のグッズを作ったとしても、次に出す商品でコストを抑えれば赤字は回避できます。
だからこそ、ガチャガチャは“一期一会”。次々に新しい商品が出て、売れなかったらすぐに台を入れ替えられてしまう。見つけた瞬間に回さないと、そのガチャガチャとは二度と出会えないかもしれないのです」
現在では、毎月累計で300~350種類の新商品が誕生しているという。この一大ガチャガチャブームは、どこに向かっていくのだろうか。
「最近は、さまざまな企業がガチャガチャに目をつけ始めています。筐体を置くスペースさえ確保できれば低コストで商品を販売できるので、企業や観光協会のPRには打ってつけなのです。旅ガチャ、ホテルガチャ、文化の継承を目的にしたガチャなども登場しています。今では、本物の九谷焼の箸置きが景品になっていたりするんですよ」
さらに、ガチャガチャは“ご当地ネタ”とも相性がいいそう。各地域の名産物をキーホルダー化した「街ガチャ」は、非常に売れ行きが好調なのだとか。
「『船橋ガチャ』なんていうのがあるんですけど、船橋駅構内の待ち合わせ場所になっている『さざんかさっちゃん』像が景品になっているんです。
そんなの、船橋市民以外は誰も知りませんよね(笑)。でもそのニッチさがウケており、船橋市以外からもたくさんの人が回しに来ているようです。今後は、地域の活性化にガチャガチャが大きく寄与していくでしょう」
メーカーの熱い思いと、ファンの愛にあふれるガチャガチャ。まだまだ続きそうな第四次ブームから、今後も目が離せない。
取材・文/渡辺ありさ