駅から遠くても味が良ければ勝負できる

高校の同級生である奥さんも茅ケ崎市出身ということで、独立するなら地元の茅ケ崎でやろうと決めていた。しかし、駅前で探すもののいっこうにいい物件が出てこない。翌年3月に「進化」を卒業することは決まっていたが、もう年末になっていた。

「物件探しには一番苦労しましたね。結局1月に見つけたこの物件にしたのですが、駅から遠いこともあり、とても不安でした」(廣田さん)

確かに、駅から徒歩14分というのは距離にして1km近くあり、決して便利な場所ではない。しかしここで背中を押してくれたのが、師匠である関口さんだった。「進化」の本店は小田急線の町田駅から徒歩16分、JR横浜線の町田駅からはなんと徒歩20分だ。しかもマンションの1階というわかりづらい立地で連日行列を作っているのである。

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「町田汁場 しおらーめん進化」のしおらーめん

「この立地で大丈夫かどうか相談すると、関口さんは『味が良ければ絶対いけるはず』と勇気をくれました。それでも不安は残りましたが、思い切ってここに決めたんです」(廣田さん)

店名は笑顔溢れるお店になれるように、「笑」の「わら」を文字って「藁」と名付けた。「藁」はその昔、生活を支える身近になくてはならないものだった。かといって主張することもなく、身近な存在であり続ける。このお店もそういう存在になりたいという廣田さんの思いが込められている。