5年という期間を決めて修行開始

当時、東京の町田に住んでいた廣田さんは塩ラーメンの名店「町田汁場 しおらーめん進化」に月に1回ぐらいのペースで通っていた。

オープンわずか4か月で「TRYラーメン大賞」新店大賞受賞の名店が店内に一切ウンチクを貼らない理由_4
廣田さんが修行した名店「町田汁場 しおらーめん進化」

醤油ラーメンが好きだった廣田さんだが、塩ラーメンをまったく知らなかったので、あえて「進化」で修行して学びたいと思った。店に貼ってある求人を見て、思い切って応募してみることにする。こうして廣田さんはラーメンの世界に飛び込んだ。

「独立を前提に入れていただき、期間は5年と決めていました。自分の性格上、納得したら独立という形にすると延々と伸びていくと思ったので、期間を決めさせていただいたんです」(廣田さん)

「進化」の店主の関口信太郎さんはラーメンの肝である“塩”をはじめ、気になる食材に出会ったらあり得ないレベルでのめり込み、ラーメン道を極めていくタイプ。廣田さんは働けば働くほど関口さんの凄さが分かるようになってきたという。

入店してから1~2年はとにかくがむしゃらに目の前の仕事をこなした。1年経たないうちに町田駅前店の店長になり、店を任されることに。

「自分が任されたお店を守れない奴に自分の店なんかできるわけがありません。とにかく『進化』をしっかり守っていこうと目の前の仕事をしました。関口さんに少しでも追いつけるようにと必死でついていきましたね」(廣田さん)

3年目から独立を少しずつ考え始め、ラスト1年で準備を始める。

独立した時のメニューを想定したラーメンを「進化」の限定メニューとして作らせてもらい、様々な食材を試すことができた。