塩ラーメンの名店のはずが、看板は醤油ラーメン?
看板メニューは「しょうゆらーめん」。
塩ラーメンの名店出身であるにもかかわらず、券売機の左上が「しょうゆ」であることはラーメンファンの間でも話題になった。これには大きな理由がある。
「都内でも代表的な塩ラーメンの名店『進化』出身で、看板メニューを塩ラーメンにすると、その瞬間から『塩ラーメン屋』になってしまうと思ったんです。塩ラーメンももちろん自信がありますが、自分は醤油ラーメンが一番好きだし、醤油も食べてほしい。そうなると看板メニューを『しょうゆらーめん』にするほかはなかったんです。それだけ『進化』のイメージが大きいということですね」(廣田さん)
開店当初から「オススメは塩じゃないの?」と聞かれることがしばしばあるという。そのたびに「どちらもオススメです」「私がしょうゆラーメンが一番好きでして」と答えているという。
醤油と塩それぞれに合った麺を製麺
「藁」は麺へのこだわりがハンパではない。
「しょうゆらーめん」は平打ち麺、「しおらーめん」は細めストレート麺と麺を変えている。しかも自家製麺だ。
「麺だけは譲れなかったポイントです。『進化』で一番勉強になったことですね。働くまでは『麺が旨い』という感覚になったことはなかったのですが、『進化』に入ってからそれぞれのスープに合う麺が存在することを知ったんです。『藁』では他ではあまり見ないけど奇はてらってはいないギリギリのところで麺を作っています」(廣田さん)
特に「しょうゆらーめん」の平打ち麺は珍しい。鶏・鴨・豚の厚みある清湯スープに、4種の醤油を合わせた醤油ダレを合わせ、少し甘みが特徴的なスープに仕上げている。平打ち麺がこのスープをこれでもかと持ち上げてくる。通常の細麺よりも麺の表面積が広い分、スープが持ち上がってくるのだ。
「しおらーめん」は鶏ベースの動物系に、鯛煮干しなどの魚介系を合わせたWスープ方式だ。醤油らーめん以上にダシ感が強く、柔らかく茹でられた細麺はスルスルと啜り心地が良く絶品だ。
廣田さんは「進化」では製麺担当ではなかったので、独立に向けて製麺を学んだ。だからこその自由な発想で、他にはない麺にトライできているのだという。