「ヘルスケアアプリ」とはまったくの別物

CureApp創業者の1人である佐竹氏は2013年、医療分野で名高い米国ジョンズ・ホプキンス大学の留学中に治療用アプリについて書かれた論文に出会った。当時、日本ではまだアプリを活用した治療は行われていなかったが、米国ではすでに世界初の糖尿病治療用アプリが実用化され、他の疾患向けアプリの研究開発も進んでいたという。

「初めて治療用アプリのことを知ったときは、いわゆるヘルスケアアプリと同じようなものかと思っていました」と佐竹氏は当時を振り返る。

ヘルスケアアプリに関しては、使ったことがある人も多いだろう。ウェアラブルデバイスと連携し、体重や睡眠時間、血圧など健康に関するさまざまなデータを記録して、自分自身の健康管理に役立てるアプリである。治療用アプリという言葉を聞いたとき、一般的に想像されるのはおそらくこちらだろう。

しかし、治療用アプリとヘルスケアアプリはまったく別物である。

ヘルスケアアプリはあくまで一般ユーザーが自身の健康管理のために使用するものだ。対して治療用アプリは、医薬品と同じように臨床試験や治験を実施して効果を確認し、その上で厚生労働省から薬事承認と保険適用を受けている。つまり、治療用アプリは国から正式に認可された“治療法”であり、実際に効くことが証明されているのだ。米国では2010年から、日本では2020年から保険適用され、医療現場での実用化が始まっている。

高血圧やニコチン依存症をスマホで治療? 保険適用もうれしい「治療用アプリ」がもたらす恩恵_2
株式会社CureAppの代表取締役兼医師の佐竹晃太氏。慶應義塾大学医学部卒、日本赤十字社医療センターなどで臨床業務に従事し、呼吸器内科医として多くの患者さんの診療に携わる。2012年より海外の大学院に留学し、中国・米国においてグローバルな視点で医療や経営を捉える経験を積む。米国大学院では公衆衛生学を専攻する傍ら、医療インフォマティクスの研究に従事する。帰国後、2014年に株式会社CureAppを創業。現在も週1回の診療を継続し、医療現場に立つ。

佐竹氏は治療用アプリに2つの大きな社会的意義を感じたという。

「治療用アプリは医薬品と同等の効果を持つ可能性を持ち、なおかつ薬と違い副作用など安全性が問題になったことは聞いたことがありません。また、新薬の開発には莫大な費用がかかるため、実用化直後は高価になりがちです。一方、治療用アプリは新薬に比べて圧倒的に開発コストが低いため、高騰する医療費対策にもなります」