信頼できる精子提供者との出会い

その後も情報収集につとめ、やがて「子供がほしい」「子供を育てている」LGBTQの人たちを支援する「一般社団法人こどまっぷ」の前身団体を2014年に立ち上げた。つながりが広がっていくと同時に、長村さんの‶同性パートナーと育児をしたい〟という夢に伴走する相手が現れた。それが現在のパートナー茂田さんだ。

子供を授かったレズビアンカップルが葛藤しながらも子供の顔出しをする理由_02

「ほぼ一目惚れです。付き合う前から『私は子供がほしい人じゃないとつき合えないから』ということは言われました。コミュニティのなかでも子供を持つことに反対する人は結構いて、いろいろ意見されたこともあったようです。でも私は『いいんじゃない』と」(茂田さん)

飲食店3店舗を仕切る実業家で、「こどまっぷ」の代表として活動している長村さんをうしろから支えているのが茂田さん、といった印象だ。凹凸がはまった2人は、信頼できる男性から精子提供を受けるべく行動を起こした。

しかし、信頼、尊敬できるドナーにすぐには出会えない。出会えたとしてドナーの依頼をし、断られることも当然ある。そういったことを数度繰り返し、ようやく2人の未来像を理解し、協力してくれるドナーが現れたのだ。

「私、性暴力の経験があるので、近くに男性がいると身体が堅くなってしまうんです。ドナーをお願いする人には、自分の身体が嫌な反応をしないことが大事でした。そのドナーは隣にいてもリラックスできて話せる人でした。あと、なぜ、その人を選んだのか子供にちゃんと言える人がいいなと思っていたので、尊敬できる人を探していました」(長村さん)