大麻の規制変更で何がどう変わるのか

そのためバイデン大統領は大麻をスケジュールIからより規制の緩い分類に移すか、あるいはスケジュールから外してしまうかどうかの検討を始めたのである。大麻をCSAから外して連邦法の刑事罰を廃止すれば、すでに合法化されている州と同じような状況になる。実はこれを実現するチャンスは過去にもあった。

2020年12月、民主党が多数派を握る議会下院で、大麻をCSAのスケジュールから外し、大麻の生産・流通・所持などに対する刑事罰を廃止するという「マリファナ機会・再投資・抹消法(MOREA)」法案が可決された。

これには過去の大麻関連の犯罪歴を抹消し、大麻製品に課税する条項なども含まれていたが、大麻を合法化する法案が連邦下院で可決されたのは米国史上初めてのことだった。この時、民主・共和両党の勢力が拮抗していた上院での可決はならなかったが、もし可決されていたら、バイデン大統領の署名により成立していたかもしれない。

ちなみに合法化と非犯罪化の違いは、合法化は特定の製品または行為を禁止した法律を廃止することを意味し、非犯罪化はその行為は違法だが、刑事罰は科せられないことを意味する。バイデン大統領は非犯罪化することは明言したが、大麻製品に課税する合法化については、はっきり述べていない。

それから大麻関連ビジネスへの影響だが、CSAの見直しはすでに合法化されている州で医療用や嗜好用の大麻製品を生産・販売している企業に良い影響をもたらすことが予想される。

州レベルで合法化されていても連邦法で禁止されている大麻を扱う企業はこれまで、銀行と事実上取引できないため融資を受けられなかったり、法人税の申告の際に税額控除を受けられなかったりと様々な不利益を強いられてきたが、非犯罪化されれば、これらの問題は解消されるからである。

難しい状況にありながらも大麻業界のビジネスは好調で、大麻関連の情報調査会社「ニュー・フロンティア・データ」によれば、2020年の米国における合法大麻の売上高は200億ドル(約2.9兆円)に達したという。連邦レベルの非犯罪化、さらに合法化が行われれば、その業績はさらに飛躍的に伸びることが予想される。