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「障害者を笑うな!」で衰退。現役こびとレスラーが問う、なんとなくの善意_5

ーー東京五輪のパラリンピック公式映像作品『MAZEKOZEアイランドツアー』にも出演されたと伺いました。反響はありましたか。

世界配信したらしく、反響はすごかったそうですよ。ただ、その一瞬の盛り上がりで終わってしまった。一発の盛り上がりではなく、継続してテレビやメディアに出演していけるような状態にしたい。

ーー太田さんの普段の生活はどんな感じですか。収入はプロレスだけだと厳しいのでしょうか。

僕は、普段はバイトをしながら、プロレスをやったり芸能の仕事をいただいたりしています。理想はプロレスと芸能だけで食べていけること。プロレスは月に1~2試合しかないので、それだけでは生活できないです。売れない芸人さんと一緒ですよ。

ーーそんな中、昨年クラウドファンディングを立ち上げ、こびとプロレス専用リングを作ったと伺いました。

昨年、こびとプロレスを復活させたいという思いを持ったつばきHOLDINGSの大木信夫会長を中心に、有志メンバーで結成した「こびとプロレス再生プロジェクト実行委員会」でクラウドファンディングを行ったんです。どうなるか僕も不安だったのですが、あれよあれよという間に400万円近く集まって。

それで専用のリングを購入し、日本初のこびとプロレスの道場を開設することができました。そこからこびとプロレスの団体・椿ReINGzが立ち上がったという経緯です。今は現役プロレスラーの伊藤薫選手、藪下めぐみ選手が指導をされている伊藤道場と共に歩んでいます。

「障害者を笑うな!」で衰退。現役こびとレスラーが問う、なんとなくの善意_6
2021年8月 、こびとプロレスの復活を願う有志メンバーが「こびとプロレス再生プロジェクト実行委員会」を発足し、練習場所がないこびとレスラーのために、リングを購入することを目的としたクラウドファンディングを実施。目標額250万円に対し、4,778,000円の資金調達に成功した

ーー練習場があるのとないのでは、違いますか。

全然違います。僕は今まで全日本女子プロレスにいたんですが、練習場はなかった。それがようやく練習をさせていただけるようになってうれしい。受け身の練習などもできるようになって。これまで自己流で練習していたのが、練習場ができたことで伊藤選手や藪下選手の指導を受けることもできました。改めてプロレスって奥深いと思いながらやっています。

ーー今後はどんなところに力を入れていきたいですか。

最優先は、最低でもひとり新人レスラーを入れたい。そして僕自身、スキルアップはもちろん、受け身もしっかりできるようにしていきたい。この2つです。

今、日本のこびとプロレスにはたった2人しかレスラーがいないんです。興味のある方がいらっしゃったら、まずは見学だけでいいのでぜひ道場に見に来ていただきたいです。そして、ぜひ観戦してください。単純に見て「面白いな」とか「すげえな」と思ってくれたらなと。何の偏見もなく、純粋な気持ちで「こびとプロレス」を見てもらえたら、それに勝る喜びはないですね。

ーーぜひみなさんに、こびとプロレスを見に行っていただければと思います。ありがとうございました。

「障害者を笑うな!」で衰退。現役こびとレスラーが問う、なんとなくの善意_7

取材/たかまつなな 編集協力/塚田智恵美

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