スウェーデンの充実した性と避妊に関するサポート

日本の現状に対して、性教育や性に関するサポートが進んでいる海外ではどのような制度があるのだろうか。

高橋:2019年、スウェーデンのユースクリニックの視察に行きました。日本との違いは様々ありましたが、思春期用のミレーナ(子宮内避妊器具)があったことには驚きました。従来のものより少し小さいんです。

ミレーナは、挿入するときの困難さから、経産婦向けの避妊具というのが我々の認識でした(出産経験のない方でも使うことは可能)。そのような意識のものに「思春期用」が開発され、使われていることに大変驚きました。

この背景には、スウェーデンの性教育やサポートの姿勢があると思います。スウェーデンの性的同意年齢は15歳。それまでにしっかりと性教育をして、15歳になったら「あなたたちはセックスをする権利がありますよ」というスタンスで、それ以降の避妊のサポートが無料なんですよ。

新橋:すばらしいですね。日本は性的同意年齢13歳にも関わらず性交については教えてもらえないし、それなのに高校生で妊娠をしたら周りからものすごく責められるのに……。

高橋:ものすごい差ですよね。

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若くして出産することでキャリアの選択肢が狭まる日本

新橋:私は社会の受け入れ体制にも海外と日本の差を感じます。

日本では、妊娠して高校を中退してしまうと、その後育児と生活を安定させることの両立はとても難しいものになってしまいます。そのため、将来のキャリアのために産みたいのに産むことを諦めてしまう方も少なくありません。海外には子どもを妊娠して産んでからも通える学校がある国も多くあるので、日本にもそういった学校が増えてほしいなと思います。

アメリカには子どもをもつ女性が通う学校から積極的にインターン生を採用する企業があるそうです。理由は「守るものがある人の方が、より意欲的に働いてくれる傾向があるから」。

子どもがいるからこそ分かることや経験を生かしてもらいたいという理由で、ベビーカーやミルクのメーカーなどが積極的に採用しているそうです。そのような感覚を日本の企業にももってもらえたら、若くして妊娠した女性の選択肢が増えるのに、と思いますね。