フジテレビが誇る男性アナ対談「若手時代は、アナウンサー採用じゃなくて、夜勤採用だったのかなと思ってました(笑)」_03

人事部に異動願いを提出!?

伊藤 佐野さんがくだらない話しかしないようなので、僕が真面目な話をしますね。僕は入社してすぐ、『めざましテレビ』に付くことになったんですけど、ディレクターの指示に応えて何かをしゃべります。それでVTRが出来上がります……という仕事だったので、正直なところ、面白くないなぁというのがずっとありました。
そうか、テレビは本質的にはディレクターのもので、モノ作りをしたいと思ったら、ディレクターにならなきゃダメなんだとずっと思っていて――。

佐野 ディレクターになりたくて異動願いを出したんだよな。

伊藤 4年目のとき第2制作部……当時バラエティを作っている部署でしたね。

――本当ですか?

伊藤 ホント、ホント。アナウンサーとしてのレギュラーがあったので、異動はすこし先になるけど、発令はするからと。そこまで話は進んだんです。で、発令直前にフリーのディレクターに話をしたら、ちょっと待て!と。ディレクターになりたいんだったら、いつでもおれの会社で雇ってやるから、いまは騙されたと思ってアナウンサーを続けてみろ……と言われて。

――それで翻意した?

伊藤 その話をしたのが金曜の夜中だったんですけど、発令は月曜の朝で、土日は人事部が休み。当時は携帯電話もなかったからどうしようか迷ったんだけど、土曜日の午前中だったかな、人事部に電話して誰か出たら、ステイ……アナウンス室に残る。出なかったら発令でいいやと思いながら電話したんですよ。そしたら――

佐野 1コールで出たんだよな。

伊藤 そう。それも当時の人事局長が。で、「アナウンス室の伊藤です」と言ったら、間髪を入れずに、「わかった。お前、異動をやめたいんだろう?」と言われちゃって。この件があって以降は吹っ切れたというか“アナウンサーで!”という気持ちに変わっていったんですよね。幸い僕は……佐野さんも同じだと思いますけど、番組にも恵まれていたので。

佐野 それはね、本当にそう思う。さっき伊藤が、テレビ番組はディレクターのもの……というような話をしていたけど、それだって必ずしもそうじゃなくて。自分の関わり方次第では、モノ作りに参加できる仕事だからね。

伊藤 これは、後になって気づいたことですけど。アナウンサーが面白くないと思っていた頃はディレクターのいうことを、はいはいと聞いて、終わってひとりになってから、愚痴というか、文句を言っていただけで。番組を作るパーツとして、自分が果たさなきゃいけない責任もあるし、自分のクリエイティビティもオンエアにそのまま反映される仕事なんだというのに気づけたことは、本当に良かったと思っています。

佐野 もうひとつ、彼は覚えていないと思うから僕から言っておきますけど。「異動するのをやめました」というから、「何で?」と訊いたら、「佐野さんの仕事ぶりを見て、やっぱり僕、一からアナウンサーのことを勉強しようと思います」って、言ったんだよね。忘れてるだろう?

伊藤 おいおいおいおい。いきなりなんてことを言い出すんですか。そんな嘘って、あります? 一応、ちゃんとした対談の中で、そんな嘘を言ってもいいの?

佐野 いやだから、先に断ったじゃない。伊藤くんは覚えていないかもしれないですけどって。でも俺は覚えているから。

伊藤 いやない。それだけは、絶対にない。佐野さんの仕事ぶりを見ている人なら誰も、そのセリフだけは口が裂けても言わない。

佐野 またまた照れちゃって。言ってたじゃない。「最後の決め手は佐野さんの仕事ぶりを見てです」って。

伊藤 あり得ないわ。誰なの!? この人を連れてきたのは? 佐野さんの仕事ぶりといえば「弁当が好き」以外印象にありませんよ!

フジテレビが誇る男性アナ対談「若手時代は、アナウンサー採用じゃなくて、夜勤採用だったのかなと思ってました(笑)」_04

「25年度アナウンス職」を現在募集中!8月31日(木)正午〆切!
詳しくはフジテレビ採用HPをチェック!
https://www.fujitv.co.jp/recruit/

中編「佐野アナと伊藤アナの仕事の流儀――」に続く
後編「テレビ大好きおじさんず」はこちら

フジテレビの未来の話はこちらから

取材・文/工藤晋 撮影/猪原悠